内容説明
小説家を志して実家を飛び出し、生駒山麓のアパートに籠もっていた「私」は寺の参道で謎めいた女性に出会う。その女性は万巻の書物に囲まれて暮らしていたが、厳しい読み手でもあった。私は彼女に認められたい一心で小説を書き続けるが……(表題作)。斑鳩の里に現れたひとりの青年、ベトナム戦争からの帰還兵ランボーは、己を戦場へ押しやった蘇我氏への復讐を胸に秘めていた(「ランボー怒りの改新」)。奈良を舞台に繰り広げられるロマンと奇想に満ちた4篇。本書を発表したのち沈黙を続ける鬼才の唯一の著作。仁木英之による解説、森見登美彦との対談を収録。(『ランボー怒りの改新』改題)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chiru
127
なんなん?めっさおもろいやん♪と叫んじゃった🎶 奈良の青春を四編で描く。『佐伯さんと男子たち1993』は恋の未熟者たち奈良男子3人がアホらしい作戦を真剣に行使しつつ『佐伯女子』に魂を捧げる生態を生き生きと描く。次々に玉砕する男子たちが可愛い♡一生懸命書いた恋文を🦌に食べられるシーンが好き✨『ランボー怒りの改新』は規格外😄ロケランをぶっぱなす蘇我氏とランボーの奈良頂上決戦が開幕。他二編を含め、すべてが歴史のアザーサイドで繋がる構成がスゴイ!謎の作家さんがただ者じゃない感で、今後が楽しみ🦌🌕️★52021/05/25
papako
80
ずっと気になっていて。前々作の奈良つながりで。なんとも不思議なお話たちでした。表題作がほぼ真実なの?佐伯さんって現実にいるの?白い鹿なんじゃないの?奈良の不思議な空気感がたっぷり詰まった本でした。森見さんに似てるってレビューを見かけましたが、それはあんまり感じなかったかな。二木英之のあとがき、巻末の森見登美彦と作者の対談まで楽しめました。奈良、行きたいけど、京都の実家からでも遠いもんなー。万城目さんのマイシカ、再読したくなりました。2021/01/24
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
80
お初の作家さん。奈良と近鉄が舞台の作品という事でタイトル買い。文庫化に際しては奈良出身の「京都作家」森見さんとの対談もある。確かに冒頭の「佐伯さんと男子たち1993」や表題作の「満月と近鉄」はテイストが似ているよね。或いは万城目さんのような荒唐無稽なファンタジーもあり。文庫化に際して改題したとのことだが、前のタイトルならばおそらく手に取る事はなかったなぁ。タイトルって大事だね。★★★ コミュニティ「全国おすすめのご当地小説」 https://bookmeter.com/communities/3381792020/12/23
ジュール リブレ
79
快作!短編4作にあふれる奈良愛。そして、沢田さんLOVE。単純でまっすぐ、なんの工夫も無い高校生の時代から、戦国自衛隊×ランボー×戦場のメリークリスマス@飛鳥、アラビアならぬナラビアン奈良漬ナイト、そして表題作。『僕僕先生』の仁木英之氏によるホントかな?という発見譚や、森見モリミー登美彦との対談まで、フワフワ漂い続ける一冊となりました。奈良に行って鹿せんべい買って沢田さんに会いに行かないと。そんな気にさせられます。2021/02/20
たいぱぱ
79
モリミーがブログで紹介されてた上に、この面白そうなタイトルと来れば「購入」以外の選択肢はない。表紙にも描かれてる近鉄電車は我々三重県民の大動脈なのだ。読んだ皆さんも好評価続出ですが、僕には少し肩透かし。最初の『佐伯さんと男子たち1993』とラストの『満月と近鉄』は好みなんですよ。モリミーっぽいし佐伯さんのキャラに惹かれるものがあります。でも『ランボー怒りの改新』と『アラビアンナイト 奈良漬け商人と鬼との物語』が単なる好みの問題か?全然ツボらない。面白そうな要素はふんだんにあるんで、もう一作お願いします。2020/07/27