アミターバ 無量光明

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  • 電子書籍

アミターバ 無量光明

  • 著者名:玄侑宗久【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • ケイオス出版(2020/05発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784909507006

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内容説明

死の瞬間、私たちは何を見るのか。魂はあるのか。それはどこへ行くのか。がんを患った女性の「死のプロセス」を、禅僧の芥川賞作家が臨死体験記録や宗教体験をもとに迫真のリアリティで描いた。

――娘夫婦の住む東北に移り住んだ「私」は、80歳を前にして難治のがんに侵される。死後、魂はどうなるのか。天国や地獄はあるのか。娘の夫で僧侶の慈雲さんに尋ねると、仏教のお経の話とともに最先端の物理学の話までしてくれる。

「アミターバ。つまり無量の光。あるいはアミターユス。無量の命。要するに阿弥陀さんですよ。いいですかお母さん、極楽浄土ってのは、なにか私らには計り知れない存在の意志や思いが実現してる場所らしいんですよ。それを疑わないことです」

家族と最期の時を過ごし、徐々に自分の死を受け入れ、思い出の時間と場所を意識が往来するうち、今ここの現実と思い出の境界、それらを一つにまとめあげる時間の感覚も次第に薄れていく。そして光に満たされる圧倒的な体験とともに「私」が見たものとは?

近親者の死を見送った方々をはじめ多くの共感を得、作家・批評家に絶賛された「死という出来事」を追体験する小説。

「今回、久しぶりに読み直しながら、私は末期の時空を追体験していた。そして『時間という煩悩から解放された状況』が、あらためてなかなか佳く書けていると思えたのである。
私は今でもこのようなことが末期には起こるような気がしている。いつ『意識の混濁』を体験してもおかしくない……、いや、やがて死ぬすべての人々に、『アミターバ』を読んでほしいと思う」
(復刻版のための「あとがき」より)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

33
アミターバ。無量光、無量寿光と訳され、音が転じて阿弥陀。末期がんの老婆の闘病時の経験と、去来する記憶。介護する娘の婿の僧侶をキーマンに、引導を渡すでなく、肯定も否定もない。現代の宗教と言える科学の知識を以て、わかっている限界を示す。感知できるものが非可逆に失われていく中、役目を終えた肉体に依らず、次元や時空を超えて喚起できる想念。生と死の境目が朧となり物語は進む。鰯の頭も信心から(死語)。フィクションと一笑するのもよし。近くも遠くもない死へのヨスガの一助にするもよし。チベット死者の書を若い頃読んだな、と。2022/11/20

マーブル

9
この本を必要としているのは、逝く人ばかりでなく、遺された人なのだ。 あるか否かと考察することでなく、あればいいなと目を閉じる。死後の世界があるのか、それをどうこう考えるつもりはない。  あったらいいな、とは思うがまずは留保しておきたい。  やがて、分かることだろうから。  今思うのは、あの最後に至る時間に、どこまで意識はあるものか。  どこまで想いは伝えられたのか。  慰められたいような。  けれど、そうでないかもしれないと思って、生きているうちに後悔のないようにすべきなのだろうが。2018/09/11

m181

2
 人が死んだら量子というか、光になって極楽浄土に行くと作者は言っています。お坊さんらしいモチーフです。「人が死んだら、どうなる?」は永遠のモチーフであり、その答えを作者なりに出そうとしている姿勢は好感が持てました。だけど、死にかけの病室でアインシュタインの話しをするのはどうかなと思いました。医療関係者の言うところの「意識の混濁」を別の仏教の視点から見た作品です。時間概念の希薄。この世とあの世のボーダーラインが曖昧になるというのも、おもしろい。2018/09/08

あまぐりこ

1
逝ってしまった本人の感覚や気持ちがわかって安心できた。2022/11/21

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