内容説明
時の流れに負けない遺跡に「生」を見いだす。
かつての恋人を自殺に追いやってしまった罪の思いを一身に背負い、北海道の寒村で禁欲生活を続けていた矢口忍。だが、友人の誘いで赴いたシリアで、生と死が隣り合わせの砂漠の生活や、砂に埋もれそうになってもなお輝きを放つ遺跡を目の当たりにし、「生きる」ことの意味を捉え直そうとしていた。そんなとき、矢口はフランスの発掘隊に参加していた日本人女性、鬼塚しのぶと出会う。どことなくかつての恋人を彷彿とさせる彼女には、ある秘密があった――。
1976~77年に「毎日新聞」に連載された、「愛とは何か」「生きるとは何か」を鋭く、深く問う傑作長編小説の下巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
崩紫サロメ
14
下巻の舞台は殆どシリアとなるが、何故シリアなのかというと、『背教者ユリアヌス』の読者(考古学者夫妻)から、ユリアヌスの死んだシリア砂漠の絵はがきが送られてきたのがきっかけであったという。そして、意外だったのだが、これが辻邦生にとって最初の新聞小説だったとか。一回一回に山場をこしらえようとする辻に、井上靖が「ふつうの小説を書くようにお書きなさい」と言ったとか。このあとがき、読んだはずなのだけど、Audible版で聞いて、そうだったの!?と思うことが多かった。2026/06/25
Akira Suzuki
2
50年近く前の作品だが、表現されている『情熱』は全く色褪せず、私を鼓舞する。今を生きろ、情熱的に生きろ、激しく短い生命を生きろと。ここに自分にとって「生きる」ための戻ってくる場所「原点」を感じる。2024/07/09
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