内容説明
誰も大人になろうとしなくなったこの国へ向けた橋本治、最後のメッセージ。2000年以降に収録された貴重なインタビュー集成。高橋源一郎氏による書下ろし文を特別収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pohcho
52
インタビュー集。最初と最後に高橋源一郎さんの文章(とめてくれるなおっかさん、東大のポスターの話がめちゃかっこいい)昔は漫画を読んでたら頭がバカになると言われたものだけど、それがケータイになり、今やLINEでスタンプを送るだけ。そんなことに膨大な時間を費やしている私たち。自分も含め日本(世界も?)がどんどんイージーに、物事を深く考えない方向にいっているというのは日々実感する。社会、教養、読書、老いなどいろんなテーマが詰め込まれていて感想をまとめるのが難しいが、もっともっと橋本さんの言葉を聞きたいなと思った。2020/06/25
aloha0307
29
橋本治さんは、どのような質問、話の方向づけをされても自論旨をブレさせないで、聞き手と話を進めていることがよく分かります。そしてご自身の”実感”を手放さない。民主主義の弊害;建設的でなく、否定的意見ばかり...なるほど 誰もが意見を言えるのだからね(匿名でも)。自分なりに体系立てることが、教養 その柱は一本ではなくて多数でもいいそうです(その中に”いいもの”を隠してる柱がいい)。 2020/07/19
Tenouji
24
橋本氏の思考は、ビジュアル的で身体的なもの、かつ、言語化も可能という稀有なものなんだね。多くを個人の実感として話されるので、共感できるところと、共感できないところがあるけど、決して他人事ではなく説得力がある。私は、ある意味、総合芸術的だなと感じて、自分の思考を、ブツブツ言って言語化するあたりは、岡本太郎氏や落合陽一氏にどこか通じるところがあるなと感じるんだね。ちなみにタイトルはツリですw。2020/07/18
ほじゅどー
12
★★★老いというのはどの人にとっても永遠に未知の領域。「死」と同じように、「老」もいくら考えてもわからないもの。死は一瞬だが、老いというのは死に至るまで微妙な衰弱を無限に受け入れていくこと。わからないなりに手探りでいこうとしない限り、生きていくことの実感はないと思う。「瘋癲老人日記」で年をとった自分を笑えた谷崎潤一郎はすごい。年をとった自分に引きずられて死んじゃった川端康成。年寄りに同化はできない三島由紀夫。年をとれない夏目漱石。エゴを捨てようなんて、若い人間しか考えない。2023/02/09
大先生
10
日本人は1970年代、関西からバカになった。お笑い芸人にバカだといじられて喜ぶというすてきな風潮ができた。その最終仕上げは島田紳助のつくった「おバカブーム」。そして、最近は「バカの最終局面に入った時代」。右傾化というよりも、バカになってるということ…。という具合に橋本節炸裂です。他の部分も、分かるような分からないような不思議な世界観が大展開されています(笑)。とりあえず、よくわからないけど読んでみたくなる、そんな本でした。2021/11/23