内容説明
オートマタコンテストがもたらしたもの。それは圧倒的敗北と喪失だった。
水無月、桜花、全てを失ったその夜。リタの導きにより、カノンは密かにイエッセルを脱出。アルプスの山村で待ち構えていた吸血鬼王・ローゼンベルクから、彼女は驚愕の提案を受けるのだが……。
一方、時を同じくして一人の吸血鬼が新公国軍の研究所を脱走した――「俺は陰からカノンを護衛する。ハウエルズとの戦いはまだ終わってないからな」
吸血鬼軍と新公国軍の戦いの火蓋が切られる時、二人の姫たちとその騎士の、最後の反攻が幕を開ける。正義と反抗のバトル・ファンタジー第4巻!!!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まっさん
24
★★★ (恐らく)完結巻。ここから売上が伸びるなどなければここで完結とのことで一先ずお疲れ様でした。表紙を初めて見た時にもしかしたら…とは思っていたものの、いざ実際に完結という文字を目にすると寂しいものがあります。内容としては売上による完結作にありがちな急展開の連続。正直物語をある程度綺麗に締めるためにかなり駆け足で話を進めた感があって少し残念でしたが、最終的には綺麗に纏まっているのでそこは良かったのかなと。ただ、あれ程強敵感を醸し出していたハウエルズが想像以上に小物すぎて少し呆気に取られてしまった。→2020/06/07
かっぱ
9
絡繰騎士シリーズ最終巻。最後を飾る物語としてお似合いの熱い展開は良かった。最後にカノンの元に力が集結して、己が正義のために戦う王道のバトルファンタジーとしての構成と、キャラクター同士の関係性を繊細に描いた現実小説の要素が良い塩梅で絡み合っていたと強く感じる。ただ、水無月への扱いが想像していたよりもさらっとしていて、若干肩透かしを食らった感じもあるけれど終わり良ければ全て良し。序盤で敷いた伏線もしっかりと回収して、堅実ながらも丁寧な新人賞の名に恥じない良いシリーズだった2020/05/28
真白優樹
9
完膚なきまでに敗北し全てを失ったカノンが逃げた先で吸血鬼の王と出会い、最後の反抗を始める最終巻。―――抗え、例え世界が敵だとしても。 全て奪われたのならば取り戻すだけ。そう言わんばかりにカノンの元へ全ての戦力が結集し、一大反抗劇の幕が上がる最終巻。これが最後、その言葉を示すかのように全員が集いそれぞれの信念を持って戦い抜く、熱さが一気に盛り上がりそのまま駆け抜ける、最後まで面白い巻である。確かに変わった日常の先、続く未来を彼等はこれからも駆けていくのだろう、どこまでも。 うん、とても面白かった。2020/05/12
ツバサ
8
案外あっさり片付いてしまったなと思いました。前巻の絶望感を覆す熱さを期待していただけにちょっと気になりました。ただ、カノンが最初から目指していたところに辿り着けて良かったと思います。続いてほしいです。2020/05/13
ぺおる
3
1巻から続く大命題が回収され、無事物語として1つの区切りを終えた本シリーズは、第25回電撃大賞〈銀賞〉に恥じぬ王道且つ丁寧な作風がその最大の持ち味にして魅力だった。その特性は3巻から地続きの感が強い本作であっても健在だ。大枠ではアクション・ファンタジーでありながら絞られたキャラクターが織り成す関係性はいっそ青春小説的でもある。そして今作にて水無月自身の由来や彼の「不適格」というレッテルの理由が最後の最後で回収される様は見ていて気持ちがいい。間違いなく良作であり、ミサキナギ氏の今後の作品にも期待が持てる。2020/05/13