内容説明
鉄道ファンの浦本は廃線前の撮りおさめのため、北海道・留萌本線に乗車した。だが発車後まもなく発生したハイジャック事件に巻き込まれ、乗員乗客4名とともに車両内に閉じ込められてしまう。前代未聞の事態に頭を悩ます道警の安積らのもとに、犯人から連絡が入る。「道議会議員の河出を交渉役に、身代金として1億7550万を要求する」犯人はなぜこんな事件を起こしたのか? 鉄道を愛する著者がおくる、郷愁のミステリ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雅
57
廃線となる留萌本線で起こるジャック。それぞれの思惑が交差するミステリー。読み応えがあったし、道民としては地方の過疎化は他人事ではない2025/07/19
あっ!chan
47
廃線間近の留萌本線で起こった電車ジャック、そこで犯人が訴えたかったことは...よく練られた犯罪計画、上手くすれば完全犯罪も可能と思われた完成度だったが、そこには関係者たちの少年時代の純真な想いと切ない思い出、そしてまっすぐな正義感があった。建設談合の話も絡めてあったが、そこはちょっと...という突っ込みどころもあるけど、情景描写なんかはすごくリアルで楽しめました。なぜなら私自身留萌本線の幌糠駅近くで4年間ダムを造っていて何度も留萌本線に乗ったからかもしれない。まさにタイトルにつられて手にした作品。2023/01/02
papako
47
いつも鉄道旅の番組を見ているので、電車の雰囲気とか廃線の雰囲気がリアルに感じられた。彼が主人公かと思っていたら、違った!どちらかと言うと群像劇。炭鉱と鉄道と北海道。なかなか面白かった。ラストの対面がいいな。2022/06/30
TakaUP48
47
「鉄ちゃん」のための小説?線路廃止を追いかける「葬式鉄」というのを知った。話は、廃線間近の留萌本線の1両気動車キハ54のハイジャックから始まる。列車内で人質を押さえる者。道会議員への身代金の要求電話をする者。振込先は長崎。裏で糸を引く者がいるのでは?車利用社会による留萌羽幌道路建設。それに絡む土建屋利権。利用者激減によるローカル線廃止続出の現状。時代の流れを捉えた話だ!と思いきや、田舎繋がりが凄いなあ~。「鉄ちゃん」ならではの話は、留萌本線のみで走っていた地味で自慢のD61。さよなら、留萌本線…。2020/12/01
ミツツ
39
留萌本線、今年の夏に初めて乗りました。まさかそこで事件が!?と、前のめり的に読み始めコトの次第が明らかになると、鼻の奥がツーンとなってしまいました。読み終えて目を閉じると、山の中をどんどん突き進みトンネルを通り侘しい駅舎を後にする…そんな車窓の風景が思い出されます。2020/10/20