内容説明
◆東野圭吾が贈る、この冬最大の興奮! ラスト1頁まで気が抜けない長編ミステリー!
拡散すれば人々を大量死に陥れる威力をもつ生物兵器K-55が盗まれた! 引き換えに3億円を要求する犯人からの手がかりは、スキー場らしき場所に写ったテディベアの写真のみ。しかも犯人との交渉が突如不可能に! 圧倒的なスピード感で二転三転する事件のゆくえ、読者の予想を覆す衝撃の結末に酔いしれろ!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
1169
細菌テロという重いテーマながら軽妙でコミカルな雰囲気で物語は進む。まず新種の炭疽菌『K-55』の名自体が作者の名前をもじっていることからも深刻さを避けようとしているのが明白だろう。恐らく作者は経営難で苦しんでいる日本中のスキー場を救わんと爽快で軽快な物語を多くの人に手に取ってもらうために文庫書き下ろしでの発刊を選んだのだろう。難しいことは考える必要は全くない。従来の東野作品の読者ならばこの単純さが物語に厚みがなくて物足りないなどとのたまうかもしれないが、単純面白主義の何が悪いと開き直って読むのが吉だ。2016/06/05
ヴェネツィア
1065
あの広大なスキー場のどこかに…という始まりは『白銀ジャック』と同じ。本作は全体に、作家が力を入れて書いたという感じには乏しい。警察が身内でもない者に簡単に遺留品を渡してしまうなど、ミステリーとしての欠陥も目に付く。また、物語終盤でのスキー対スノボのチェイスやバトルなど映画化を意識したサーヴィスもいかがなものかと思う。タイトル通りに物語は疾走するのだが、多数の住民の命がかかっているという割には、万事に軽すぎるだろう。それはそれとして楽しめばいいのだろうが。なお、エンディングはとても面白い。2021/10/11
しゅわ
752
【図書館】強力な生物兵器が盗まれ、3億円を要求する犯人…手がかりはテディベア。ところが犯人との交渉が不可能に!?『白銀の…』の根津と千晶が出てきて雪山で活躍するお話ではありますが、息詰まる怒涛の展開だったあちらに比べると完全にコメディ&どんでん返しの薄利多売状態です。オッサン達の役立たずっぷりにツッコミまくりながら先が気になり一気読み。たくさんの人の命がかかっているわりにはひたすら軽い(涙) 食堂のお母様と親子連れがアッサリしていて拍子抜けでした(汗) 空港で見つかった彼女の間抜けさがイイ。2014/06/30
ダイ@2019.11.2~一時休止
731
白銀ジャックに続く文庫書き下ろしで、読みやすく面白いが、フランクフルトって・・・2013/12/06
Yunemo
666
なんだかコミカルに過ぎませんか。ほんとはもっと重みの内容にしてもいいのに。との想いで読了。でもこの事件を、様々な人間関係中心に記されると、ドロドロ劇になってしまうのでしょう。今のゲレンデ、そしてスキーとスノボーとの共存、あまり考えられなかった状況です。テクニックの面では頭で描いても描き切れません。今のスキー場経営を地場産業的にとらえて、住民みんなが広報マン。この切り口は面白いですよね。軽いながらも、重みの思想がそこかしこにちりばめられてる、そんな想いが残像として。2014/01/19