人類学とは何か

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人類学とは何か

  • ISBN:9784750515953

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内容説明

他者と“ともに”学ぶこと――

他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。
人類学は、未来を切り拓くことができるのか。

現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルド。
世界の知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来。

世界が直面する未曾有の危機にどう立ち向かうべきか。

インゴルドの思想の核心にして最良の人類学入門。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よきし

15
インゴルドが提唱する人々とともに考える学問としての人類学とは何かについての刺激的な人類学論。ざっくりとした読みで途中間も空いたので忘れている部分もあるが、非常に刺激的で首肯する所が多かった。細分化するのではなく、統合する智恵の学としての人類学をどのように確立するか。一学徒として、自分自身にも課せられた課題だと考えながら読んだ。他者ときちんと向かい合うことの重要性、それは相手の懐にきちんと入り、その話を同じ目線で考えることから始まる。自分の中の傲慢と思い込みを飼い慣らす必要がある。2022/10/04

うえ

11
「構造主義的マルクス主義の衰退は…突然かつ驚くべきものだった…ベルリンの壁の崩壊と、それにソビエト連邦の崩壊、冷戦終結宣言とともに…音を立てて崩れていった。マルクスにインスピレーションを求めていた知識人たちー人類学者もその中に含まれるーは表舞台から姿を消すか、その後に続く別の知性を見つけた。かつては人類学専攻の学生全員が読んでいた、資本主義社会以前の生産様式に関する学術書は、図書館の書棚に打ち捨てられ、開かれず愛読されなくなった…人類学…関連諸学の全歴史を包摂する時代の終わりをそこに見た」日本を除けば…。2020/12/21

とんこつ

9
異なる文化に飛び込み調査を重ね世界の多様性を発見するというこれまでの人類学に対して、著者は非常に批判的な姿勢をとる。そこでは自分と他者が離れたところにいるだけでなく、根底に自文化中心主義が潜んでいるからだという。対して著者が唱えるのは、多様でありながらも統合しているという人間への認識だ。著者のこの認識は、彼の生命への理解と呼応しているように思う。それは認識論ではなく存在論として人間と向き合い、属性ではなく関係論として共同体を理解するところにも端的に示される。生命は固定的なものではなく、流動的なものなのだ。2020/07/21

Kyohei Matsumoto

7
人類学者ティムインゴルドによる人類学の概説書であるが、これはいわゆる概説書ではない。この本は人類学をある程度知っていなければ読めない。この本は新しい人類学の提案として読まれる本だと思う。人類学の歴史、生物と文化と2つに分ける学問的な分断の在り方に参加しない人類学の立ち位置を明確に表明し、人類学は知識を創造するタイプの学問ではなく(その意味では反学問である)、人々と"ともに"学んでいく学問であるということが書いてある。そして、このような人類学という"実践"は、医療従事者が大変環境として恵まれていると思う。2020/04/10

shogo_kasu

6
学生の頃に貪るように世界を旅していたが、それが何だったのかを少し言語化できるようになったきがする。この著で語られる人類学との一致が少なからずそこにある。 「要するに、人類学の目的は、人間の生そのものと会話することである。この会話─この生─は、たんに世界についての会話ではない。それは世界である。それは、私たちすべてが住まう世界なのである。」 「人類学にとって挑戦とは、多種多様の異なるものからなる世界が一つであることを、明晰に確信をもって打ち出すことである。」2022/04/30

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