人類学とは何か

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人類学とは何か

  • ISBN:9784750515953

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内容説明

他者と“ともに”学ぶこと――

他者と向き合い、ともに生きるとは、どういうことか。
人類学は、未来を切り拓くことができるのか。

現代思想、アートをはじめ、ジャンルを超えた影響と挑発をあたえつづけるティム・インゴルド。
世界の知をリードする巨人が語る、人類学と人類の未来。

世界が直面する未曾有の危機にどう立ち向かうべきか。

インゴルドの思想の核心にして最良の人類学入門。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえぽん

46
世界の知をリードする人類学者が、負の側面を含めた従来の人類学の流れを辿った上で、今後の人類学は、人々と共に学び、現生人類全体を対象とし、生の過程に沿って進みながら作動する学問とすべきとした書。人間を遺伝子と環境の間で起こる相互作用の産物ではなく、直面する条件や瞬間に反応しながら作られる自らの生の産物だとする。人類学は、経済学、政治学、神学が別々に見る市場、政府、教会の人間経験への影響を、相互関係を含め一体的に示すものだと言う。現代思想やアートに影響を与えた人らしく、詩的かつ論理的な書き振りにも価値がある。2024/08/11

よきし

15
インゴルドが提唱する人々とともに考える学問としての人類学とは何かについての刺激的な人類学論。ざっくりとした読みで途中間も空いたので忘れている部分もあるが、非常に刺激的で首肯する所が多かった。細分化するのではなく、統合する智恵の学としての人類学をどのように確立するか。一学徒として、自分自身にも課せられた課題だと考えながら読んだ。他者ときちんと向かい合うことの重要性、それは相手の懐にきちんと入り、その話を同じ目線で考えることから始まる。自分の中の傲慢と思い込みを飼い慣らす必要がある。2022/10/04

タカナとダイアローグ

13
積読約半年、薄いにもかかわらず激ムズである‥ 人々についての研究をするというよりもむしろ、人々とともに研究する方法P134 反学問であるといわれる?実証的な科学主義偏重ではないアートのような方法があるはずという主張? 環境=内=有機体は、世界=内=存在である(ハイデガー)ということに気がついたらしい。文化、文化相対主義、民族史をめぐる問題を提起。あと、人類学者をめぐるステレオタイプ「悪者」「マヌケ」の克服。熱量は受け取ったけど内容はさっぱり…人文学と自然科学に引き裂かれないホーリズム。難しいけどがんばろ。2025/06/22

うえ

11
「構造主義的マルクス主義の衰退は…突然かつ驚くべきものだった…ベルリンの壁の崩壊と、それにソビエト連邦の崩壊、冷戦終結宣言とともに…音を立てて崩れていった。マルクスにインスピレーションを求めていた知識人たちー人類学者もその中に含まれるーは表舞台から姿を消すか、その後に続く別の知性を見つけた。かつては人類学専攻の学生全員が読んでいた、資本主義社会以前の生産様式に関する学術書は、図書館の書棚に打ち捨てられ、開かれず愛読されなくなった…人類学…関連諸学の全歴史を包摂する時代の終わりをそこに見た」日本を除けば…。2020/12/21

とんこつ

9
異なる文化に飛び込み調査を重ね世界の多様性を発見するというこれまでの人類学に対して、著者は非常に批判的な姿勢をとる。そこでは自分と他者が離れたところにいるだけでなく、根底に自文化中心主義が潜んでいるからだという。対して著者が唱えるのは、多様でありながらも統合しているという人間への認識だ。著者のこの認識は、彼の生命への理解と呼応しているように思う。それは認識論ではなく存在論として人間と向き合い、属性ではなく関係論として共同体を理解するところにも端的に示される。生命は固定的なものではなく、流動的なものなのだ。2020/07/21

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