内容説明
臨床心理学者と宗教学者による、仏教の途方もない魅力を探る対話。聖者の生涯、臨終場面、戒律、性の問題をキリスト教・イスラム教と比較、ユーモアいっぱいに語りながら仏教の核心へ。「仏教への帰還」「ブッダと長生き」「仏教と性の悩み」「仏教と『違うんです!』」「幸福の黄色い袈裟」「大日如来の吐息――科学について」など6編。「釈尊と弟子のセックス問答集・パーリ語聖典『律蔵』抄訳」のおまけつき。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
26
題名や表紙の画でイメージしていたのと大違いで、とても難解な本だった。 主だった宗教の基本概念を知っておかないとわかりにくいし、レヴィ・ストロースや物理学まででてくる。 レヴィ・ストロースなんて学生時代に読んだっきりだし内容まるで覚えていないし、物理なんて高校時代以降ブッツリ縁が切れている。 ただ、仏教には「幸福」という言葉はなく、近いものでは「楽」であり、その意味するところはとても共感できた。 胎蔵界と金剛界の曼荼羅はそもそも全く別の所からきていて、それを空海がうまく融合したというは話には感心。 ★★★2017/12/08
雲をみるひと
23
心理学者と宗教学者の仏教がテーマの対談集。かなり哲学的で読むには基礎知識が必要な本だと思う。納得できる内容や箇所も多いのだが、もう少し一般の読者を意識した編集になっていたら尚良かったと思う。二度、三度と読み込む必要がある一冊だと思う。2023/10/07
夜間飛行
17
今まで宗教の戒律というものは性道徳を厳しく戒めるものであり、異性を欲望の目で見ることを禁ずるものだと思っていた。しかし本書を読み、仏教における性の問題はキリスト教とは大きく異なることを知った。一言でいえば、キリスト教がそれを「いけないこと」と教えるのに対して、仏教の戒律はあくまでも真理探究のマニュアルとして、つまり性欲をどうするかという技術的な問題として扱うらしい。猟師が山に入る時と同じなんだという説明は、すごく解り易かった。そもそも仏教の真理は女性的と言われればそんな気もする。仏教を学びたくなってきた。2013/04/11
水彩
14
面白い。けど、ちっとも魂の救済とかにはならない(笑) 仏教を歴史的に、科学的に、もしくは心理学との比較であったり、あらゆる側面から考えた対談集。2017/03/16
小太郎
13
見た目よりはかなり難解な仏教に関する対談集になっていました。中沢新一と河合隼雄の立ち位置の違いもよく分かったし。ユダヤ、イスラムやキリスト教という一神教とはまるで次元?の違う仏教の奥深さが確認できて読みごたえありました。前に読んだ「ブッダの夢」を思い出してしまいました。2018/06/29