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内容説明
動乱の源に宗教あり。最強コンビが世界の肝となる宗教を全方位から分析する!
いま、そこに危機はある。本当に怖いものは習俗の皮を被ってやってくるのだ。
各国で起きるテロや、EUやアメリカで生じる排外主義・外国人嫌悪(ゼノフォビア)、めまぐるしく変転する中東情勢など。
世界各地で民族・宗教といった、冷戦後には“古い”とされた問題が噴出し続けている。
私たちの現実社会に影響を与えている「宗教思想」といかに向き合うかは、避けては通れない時代になったのだ。
習俗の皮を被ってやってくるものにこそ、目を凝らさなくてはいけない。原理主義が現代日本で広まることは十二分に考えられる情勢だ。
世界に大きな影響を与え続ける宗教を、資本主義、暴力、生命、国家から語りつくす!
私たちがいま、どこにいるかを知るのが教養である。
宗教の現在地を抑え、いまどこに私たちは立っているかをつかむ濃厚対談!
※本書は『宗教と資本主義・国家』『宗教と暴力』『宗教と生命』(いずれもKADOKAWA)各巻の「第一部」に、新章と書きおろし原稿を加え、再構成したものです。
【目次】
まえがき(池上彰)
序 論
いま宗教とは(池上彰)/人間の思考と魂の根底に迫る(佐藤優)
第一章 宗教は資本主義を超えられるか
第二章 宗教は人を殺す思想とどう対峙するか
第三章 宗教はAI社会で誰の心を救うのか
第四章 宗教は国家を超克するのか
あとがき(佐藤優)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
123
お馴染みの二人による宗教をテーマとした対談本。やはりクリスチャンで神学科出身の佐藤氏が全体的にリードする内容が多い。日本国内はともかく世界各国の宗教事情等はあまり目に触れる事が無いので興味深い。特に欧州での宗教離れ等は初耳だった。現政権は自公連立なので神道の国教化は無いものの、大嘗祭といった行事に熱狂する現代日本に警鐘を鳴らしている。読みやすい対談本なので宗教に詳しくない人にもオススメ。2020/05/16
あすなろ
67
いつも勉強させて頂くお二方の最新刊。宗教につき語る。知らぬこと多く、大いに知的好奇心を満たされ刺激されたのはいつものとおり。宗教というものの持つ、適応性や死との関わり。政治のとの関わり。これらから、マルクスは宗教はアヘンである、とした。では、お二方が宗教のデパートであるとされる我が国はどうか?宗教が持つ多面性の一つとして、世俗化がある。つまり、気づかないうちに「宗教」に囚われている危険性があるということである。その現象の萌芽を捉え、警鐘を鳴らすのである。2020/05/24
kawa
32
多くの人が無宗教と信じているが、実態としては宗教的な意識をもって生活をしている。例えば、お金崇拝も形を変えた宗教とも言える。古来から宗教は暴力的側面も有していたが、信仰心を持つ「善き人」との対話によりネットワークを構築していくことも宗教の優れているところと説く。佐藤氏は、神道が「慣習だ、宗教でない」との形は、事実上の国教化につながる。同様な趣旨から宗教色の無い国立の追悼施設の建設にも反対する。2021/09/17
mintia
20
ヴィーガニズム(完全菜食主義者)についての記述が勉強になった。ヴィーガンが先鋭化した反捕鯨運動同様、暴力性をはらんでいることは知らなかった。2020/07/13
はる坊
19
①日常に隠れている宗教②普遍主義、個人主義、神道③自分は無宗教だと思っている人向け④なんちゃって仏教徒の池上さんとプロテスタントの佐藤さんによる宗教についての対談。宗教という観点から、トランプ大統領やテロリズム、ナショナリズムや資本主義を論じる。「慣習や宗教ではないと思うようになることこそ、事実上の国教化」 正月の初詣や七五三は、もう慣習として根付いていて、極めて宗教的という指摘は、無宗教を自覚する日本人にとって、分かっていない事実ではないだろうか。2020/05/07