内容説明
逆風下の平成金融界で難題に挑み続けてきた著者が、ITとの融合により新たな局面を迎えたいま、若者へのメッセージも込め、苦闘の30年の道筋を語る。
第1部は、1999年8月、神楽坂の割烹での一室に端を発した「三井」と「住友」の歴史的合併の話に始まり、安宅産業の破産、イラン革命時の債権処理、ゴールドマン・サックスへの出資、赤字決算、バブル崩壊、金融再編、リーマン危機、ニューヨーク証券取引所への上場など、稀代のバンカーとしての経験を綴った「私の履歴書」。当時の貴重なエピソードを日経記者が新たに執筆したコラムと、連載時にはなかった写真も追加して掲載。
第2部は、2015年7~12月に日本経済新聞夕刊連載の「あすへの話題」と新たな写真とで構成。生まれた信州上田と出身地である京都のどちらの縁も大切にし、京都大学OBの縁で大阪フィルハーモニー交響楽団理事長も務める著者と各界の人々との温かな交流も描く。
巻末に「主な金融データと出来事」として1970~2019年の金融関連の数値グラフを掲載。
目次
I 私の履歴書
合併
両親
戦争
上田
京都へ
ほか
II あすへの話題
下鴨神社式年遷宮
ラトビアの初夏
夏の祭りに思うこと
背番号23
都心のふれあいの場
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふみりな
3
三井住友銀行のトップによる『私の履歴書』の加筆修正版である。メガバンクのトップなので、バブル崩壊以降の銀行業界の生き残りやマーケットの混乱などもっと生々しい話を読みたかったが、履歴書の1話完結編のため触りだけに終わっている。時期を改めて踏み込んだ著書を期待したい。2020/04/19
安藤スミス
2
緑の銀行の頭取の話。いくつかの日経新聞の連載をまとめたものなので、同じような話が何度か出てくる。 現実の事件に思い入れがあると面白い。
もち
1
経営者目線なので、民草であることを自覚している自分は少し落ち込むなどしたが、人のよさは伝わってきておもしろくはあった。2024/01/09
Kyo-to-read
1
金融業界の経営者が試行錯誤に興味があり読書。金融苦難の時代を生き抜いてきたにしては内容があっさりとしており、「私の履歴書」にある通りの交遊録に留まっている印象。現在の邦銀が置かれている立場からすると決して楽観視はできないはずであるが、危機感や情熱のようなものは伝わってこなかった。著者は引退しているので仕方ないと言えば仕方ないが、「まだまだ金融は面白い」のまだまだという一言に、過去の金融に対する懐古的な響きを感じてしまう。未来やこれからの金融に向けた力強いメッセージで締めてほしかった。2020/10/04