ちくま学芸文庫<br> 〈ひと〉の現象学

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ちくま学芸文庫
〈ひと〉の現象学

  • 著者名:鷲田清一【著】
  • 価格 ¥1,045(本体¥950)
  • 筑摩書房(2020/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480099655

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内容説明

わたしたちは何によって“ひと”として生まれ、どういう理由で「あのひとらしい」と言われ、どのようにしてときにその権利が擁護され、ときに糾弾され、やがて“ひと”として消えていくのだろうか――。他者=「顔」との遭遇、愛憎という確執、個としての自由から、市民性・多様性、死など。“ひと”をめぐる出来事には常に、知覚、自己意識、理性、権利と契約、道徳と倫理といった哲学の主題が伴走する。本書はそうした問いの数々をゆるやかに開かれたまま差しだし、共鳴し連鎖する思考を展開していく。

目次

はじめに 〈ひと〉の現象学
1 顔 存在の先触れ
〈顔〉との遭遇
〈顔〉の特異性
だれかとしての〈顔〉
執拗さと儚さと
対面
到来
2 こころ しるしの交換
おもて
「仮面」の誘惑
心は見えない?
〈しるし〉、あるいはふるまいの形
スケーマ
〈たましい〉の放逐
皮膜
〈しるし〉の交換
〈たましい〉の流動
欲望の宛先
〈無〉を包む衣のように
3 親しみ 家族という磁場
巣の密度
〈家族〉の両義性
共存における約束
ルート・メタファー
「育てる」のではなく「勝手に育つ」場所
家族に代わるもの?
葛藤ということの大切さ
傷としての〈わたし〉
記憶と幻想
4 恋 「この人」、あるいは情調の曲折
attraction
魂の力学
「肉体の襞」
憎しみの媒質?
流動化する支配と従属の関係
肉体の襞
5 私的なもの 所有の逆説
「わたし」はわたしだけのものではない
自己所有という考え方
所有の根拠?
資格社会の前提
6 〈個〉 自由の隘路
「自由」への訝り
オートノミー?
所有関係の反転
制限のない自由はない
「自由であるべく強制されている」?
「自由」という権力?
他である自由
7 シヴィル 市民が「市民」になるとき
「市民権」という意識の(再)浮上
「原子化」する社会と市民の受動化
新しい「責任」のかたち?
新しい社会性?
残されたいくつかの問題
8 ワン・オブ・ゼム 「多様性」という名のアパルトヘイト
人格の多様性?
「国家」に直結する個
空疎な自己像
相対主義の問題
Anti Anti-Relativism
〈同化〉を超える思考?
原文なき翻訳
9 ヒューマン 「人間的」であるということ
「ヒューマン」であるということ
「だれ」にもなりえないひと
焼け跡という形象
naturalとnormal
解釈の規則
「さっぱりわからん」と「おまえはアホか」
「人間と動物の違い」?
コミュニケーションとディスコミュニケーション
側面的な普遍
10 死 自然と非自然、あるいは死の人称
死はシステマティックに覆い隠されている?
死の脱社会化
屍体と死者
死なれること
死の人称性
意味と無意味、あるいは人称の彼方
あとがき
文庫版あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

水色系

16
〈ひと〉として生まれ、生き、権利を持ち、死んでいく。そこでおこってくる問いに目を向けたのが本書。「ひとは死して生者から死者への語りかけのなかで、こんどは生者に語りかける死者として生まれなおすと考えたほうがいいのではないか」(P269)好き。他者との文脈のなかでは、人は「死んだら死にっきり」ではない。2021/11/08

たけのこ

2
あ~じっくり読書した~という気持ちになれる本だった笑 一般に良いとされている考え方、社会で受け入れられている考え方を、さらに一段掘り下げていくと、あれ、どういう意味なんだろう...? と疑問がふっと出てくる、という内容が多かった。「多様性のある社会」がよい、というのは本当?という部分(そもそも、自分が認識した他者との違いや異文化は、本当の意味で「違い」をとらえられているのか?すべては自分のレンズを介してしか見られないのではないか?)が一番印象的だった。2020/03/22

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