その犬の名を誰も知らない

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その犬の名を誰も知らない

  • ISBN:9784796877923

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内容説明

映画『南極物語』で知られるタロジロの奇跡から60年――いま明かされる真実の物語!
1968年2月、南極。日本南極観測隊・昭和基地近くで、一頭のカラフト犬の遺体が発見された。この情報は一般には知らされず、半世紀たった現在も封印されている。なぜ、これまでその存在が明らかにされなかったのか? はたして、犬の正体は? あのタロジロの奇跡から60年、第一次南極越冬隊の「犬係」で、タロジロとの再会を果たした唯一の隊員である北村泰一氏が、謎多き“第三の犬”について語り始める……。南極第一次越冬隊・最後の証人が明かす真実の南極物語。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

94
第一次南極越冬隊が置き去りにした樺太犬は「タロ・ジロの奇跡」で有名になったが、未熟な二頭に生き抜く力を与えていた第三の犬が直前まで生きていたという事実が明かされる。でも、この作品は、第三の犬が誰かを特定する推理ドラマというより、越冬隊が連れていった17頭の一頭一頭に対する、犬係だった北村泰一先生からの感謝と愛情の物語である。タロとジロとの奇跡的な再会の後、忙しい研究の合間を縫って、残りの犬たちの遺体を探す北村先生の姿に胸が締め付けられる。そうして見つけた七頭を、そろって水葬に付す場面には涙が止まらない。2021/01/12

itica

81
初めて南極観測越冬が実施されたのは今から60年以上も前だ。1年後、第2次隊は厳しい気候環境のため越冬を断念し、その際、犬たちは南極に取り残されてしまったのである。さらに1年後、驚くことに第3次隊を2匹の犬が出迎えた。それが有名な「南極物語」のタロとジロである。しかし、その感動の話には知られざる物語があった。犬係として犬の世話をしていた北村さんは、膨大な資料と当時の記憶をもとにある結論に達したのである。手探りの状態からの犬選び、訓練、極寒の南極でのアクシデントと犬たちの活躍は感動と無念に泣いた。 2020/03/19

ぶんこ

69
この本は犬を愛する人には辛いかもしれませんが、それよりも犬へのリスペクトで胸が熱くなります。タロとジロの生存は喜ばしい奇跡でしたが、それには優れたリーダー犬が護ってくれたからと知れたことが何よりも嬉しい。また昭和基地には犬たちが食べようと思えば食べられた犬の餌があったということも始めて知りました。その餌を食べなくても、もっと美味しい餌があって、それをリキが知っていたことも嬉しい。北村さんの犬への熱い思いが真相に導いたのも嬉しい。これらの喜びが、辛い内容を救ってくれました。取り扱った著者にも感謝です。2020/12/12

nyaoko

57
日曜劇場「南極大陸」の原作本という事で、ドラマを見ながら読んでました。子供の時に見た映画や関連本はタロジロが主役で、その他の犬達は名前と性格くらいしか紹介されず。その程度の記憶しか無かった為、今作では一頭一頭の詳細な記録と記憶が記されており、冒頭数ページで泣きながら読んでました。嘉悦氏のインタビューに、老齢となった北村氏が記憶の底を呼び戻して語るリキの最期にもまた涙…。人の傲慢と欲望に翻弄された犬達ですが、人の優しさと樺太犬としての誇りを褒められ、喜びに満ちた日もあったと思い、また涙して本を閉じました2023/09/21

papako

54
新聞の紹介だったか?とにかく気になって。あまりに有名なタロとジロのお話。子供の頃に映画も観ました。でも、それ以前にも置き去りにされた犬たちがいたとか、家庭犬を借りて訓練して連れて行っていたとか、何も知らなかった。もう絶対泣くってわかっていて、電車で読んで失敗した。タロとジロともう一匹生きていた。そして犬のために命を落としていた隊員がいた。何より家族として可愛がっていた樺太犬を連れて行かせて、置いてこられた飼い主たち。樺太犬たちの南極生活。いろんな南極隊の知らなかったことを知れてよかった。2022/06/30

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