内容説明
「現われの学」としての現象学と、「同じさの数学」としての圏論がひとつになる。思考と生、その両方に関わる根本原理を追究した画期的試論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
shin_ash
8
非常に面白かったのであるが、感想が書き難い内容でもあった。現象学の田口先生と圏論の西郷先生の対話から出てきた本なので、そう言う方面の話である。最後は西郷先生のご専門の非可換確率論に持っていくのだが、その数理的ロジックではなく「非可換」と言うところがポイントとなる。現実を捉える上で対象になるのは「問いに対する答え」であるが、対象ではなくその変換が本質で、本来は非可換なその対象が可換として捉えられると普遍性を帯びてくる。変換が本質でそれは「はたらき」であり「動き」である。非可換の中の可換が重要と感じた。2024/11/03
しみそー
4
素晴らしく良かった。まさしく画期的な試論であり、万人にとっての思考のツールと言える。正直3章くらいからところどころついていくのが難しい箇所もあったのだが、それでも読んでいる間色んなアイディアが浮かんだ。■また近い内にぜひとも再読したい。まだまだこのテキストに問いたいことがたくさんあるからだ。2024/10/20
Yoshi
4
決定論を批判しているのはすごく同意。しかし、確率であればいいというわけではない。その部分が雑な気がした。 あと、実体に関する議論は観念論的だが、ヒュームのように懐疑的に考えたとして、それによって実体の存在が否定できるわけではない。フッサールは不可知といった。また、「私」に関する議論は、パースの記号学のようで、レイコフの認知意味論とも関係すると見える。(意味は絶対的ではない!個人の観点に依存!)単に、記号についての議論ではないか?2023/08/22
さんかくこんにゃく
2
非基準的選択、置き換え可能性といった概念を、量子力学、数学、哲学の観点から考えていき、それらを用いて、学問の領域に捉われない現実一般の捉え方を思考する本。考え方の方向性は新しく、なるほどなあ、と思ったが、正直そこまで期待を超えてくるものではなかった。それなりに説得力はあるのだが、異なる分野の融合の妥当性にやや粗が感じられた。興味深くはあるが、あくまで試論に留まるものであろう。ただ、本書で示されている現実感は、実践することにその本質的意味があるので、読んだだけで評価を下すのはアンフェアかもしれない。2021/09/15
tfj
2
非規準的選択によって適当な或るものが選択され、次にそれ自体が消えることで他のものへの置き換え可能性が開かれ、普遍性が浮かび上がる。静的に見える普遍性は、実は動的な出来事を既に含んでいる(本書ではこの一連の動きを一般構造と呼ぶ)。この一般構造に着目することは、常に流れ行く現在において反省的な思考をする「上空飛行」の形而上学ではなく、流れ行く現在の只中で<私が自由に問いを立て具体的に実践する>という個別的な生きた経験から、瞬時に私を消し去り普遍性へと変換していくという、動的で血の通った哲学の態度を要請する。2021/09/14
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