ちくま新書<br> 変貌する古事記・日本書紀 ──いかに読まれ、語られたのか

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ちくま新書
変貌する古事記・日本書紀 ──いかに読まれ、語られたのか

  • 著者名:及川智早【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2020/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480072887

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内容説明

ヤマトタケルは近代以前、ヤマトタケという名だった。不老不死を求めて常世国から、「ときじくのかくの木の実」を持ち帰ったタヂマモリは、後世、お菓子の神に変貌を遂げる。『古事記』や『日本書紀』に載る古代の説話は、それぞれに違いを持ち、さらに、その後の時代の状況に沿って、意図的に変化させられることが数多くあったのだ。日本の成り立ちが記された記・紀が、いかに受容され、変化していったのか、その理由を探っていく。

目次

知られざる統治者
『古事記』『日本書紀』という書物
記紀神話伝承の性格
記紀以降の神話変容
第一部 変容するタヂマモリ
第一章 不老不死の探求者
絵葉書の人物は何者か
タヂマモリはどこへ派遣されたのか
不老不死の国
「ときじくのかくのこのみ」を取りに行く理由
我が国古文献にみる不老不死
橘とはなにをさすのか
第二章 お菓子の神となった人間
乃木大将と双璧?
教科書のタヂマモリ
忠臣であることの強調
タチバナとタヂマモリ
垂仁天皇陵の濠中の小島
お菓子の神として
人が神となる
他にも菓子神候補がいた
菓子博覧会の象徴
タヂマモリ以上の菓子の神の出現
新たなる菓子神創造の意味
第二部 ヤマトタケルとなったヤマトタケ
第一章 『古事記』と『日本書紀』の異なる物語
現代との接点
錦絵のヤマトタケル
双子で巨人という形容
女装する英雄
二つの異なる物語
ヲグナとは
父との関係性の相違
第二章 選ばれた日本武尊
選択されるヤマトタケル像
火打ち石は誰のものか
なぜ「日本」なのか
その名はヤマトタケ
第三章 英雄の利用法
病気を鎮圧するヤマトタケル
「草薙ぎ」の剣か「草刈り」の剣か
火打ち石で向火をつけて難を逃れること
病魔を払うものとしてふさわしいのは
スサノヲ神との親近性
第四章 銅像としてのヤマトタケル
兼六園に出現した慰霊碑
北陸との関連性
加賀国のヤマトタケル
兄から国人へ
鎮魂・慰霊の象徴として
白鳥と化すもの
鳥と霊魂
おわりに
国定教科書の中で
近代における変容
神話と同質の物語

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

bapaksejahtera

9
読み易い軽い内容。著者の本は「日本神話はいかに描かれてきたか」に続き2冊めである。全体は二部構成で、まずタヂマモリについて不老不死の探求者を描き、さらに彼が人間として明治期にお菓子の神となったことを記す。次いで第二部はヤマトタケルについて述べる。彼が古事記では荒ぶる悲劇的な英雄として描かれるのに対し日本書紀は天皇に忠実な英雄として教科書に登場。そこでは古事記の標記である倭命を嫌い、書紀による武尊を用いた逆説が興味深い。江戸期以前は専らヤマトダケと言い習わされた彼が近代になってタケルとなった経緯も述べられる2021/02/19

はちめ

8
古事記と日本書紀に書かれた時代に関する書籍ではなく、古事記や日本書紀に書かれた内容がどのように変容していくかに関する本。読み物としては十分面白いが、期待していた内容ではなかった。 それでも、古事記における倭建命と日本書紀における日本武尊、ヤマトダケとヤマトタケルなど、参考になる内容もありはした。☆☆☆★2020/05/16

maqiso

3
記紀で橘をもたらしたとされるタヂマモリは、明治維新後は天皇に殉じた忠臣と評価され、和菓子業界から菓子の神として崇められるようにもなった。ヤマトタケルの物語は明治以降に普及したが、古事記の荒くれた倭建命よりも日本書紀の親に忠実な日本武尊が好まれた。焼津の由来譚のうち、一書の草薙剣のエピソードのみが改変されつつ広まっていったのが面白い。2部に分かれているがまとまりに乏しい。2021/04/28

Oltmk

3
かっての古代で描かれた「古事記」「日本書紀」の物語を明治維新以降の近代日本の人々はどのように受容・変容していったのかを描いた書籍。記紀でただの人間であったタヂマモリが御菓子の神として崇められる過程や、ヤマトタケル像の受容・変容を知る事が出来るため、近代期以降の神話の受容・変容を知りたいのならお勧めできる書籍。人が神になる部分などはもうちょっと中世神話や中世期からの視点が欲しくなってしまうが、読みやすいため大変参考になる。2020/05/09

montetsutsu

1
古事記、日本書紀がどう受け入れられていたかという視点からの本と思って読んだら、ちょっと違う視点だった。けれど、ある説話の人物が明治以降にお菓子の神様にまで祭り上げられてしまう、というような受け入れられ方の視点で面白く読めた。2021/01/24

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