太宰を読んだ人が迷い込む場所

個数:1
紙書籍版価格
¥1,034
  • 電子書籍
  • Reader

太宰を読んだ人が迷い込む場所

  • 著者名:齋藤孝
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • PHP研究所(2020/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569846637

ファイル: /

内容説明

太宰の作品を読むと、何かに迷い込んだような心持ちがするのではないか。とめどない堕落、自意識やプライドという厄介な存在、世間とのずれ、さらには日本語のリズムの見事さが綾なす物語世界に入り込めば、何も感じずに素通りすることはできないだろう。太宰治の全作品から、「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」(『ヴィヨンの妻』)、「生れて、すみません」(『二十世紀旗手』のエピグラフ)、「八月のおわり、私は美しいものを見た」(『満願』)といった忘れ難い文言を抽出し、その魅力を解説。『新釈諸国噺』の中の「貧の意地」のような笑える作品や、よくわからない不思議な作品も網羅する。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

227
目次の前の「太宰 人生すごろく」が良い。著者の教え子の大学生が手書きで作ったという。「作文で先生に褒められる」→酒1合GETとか、1回の「自殺未遂」や未遂を含め4回の「心中」→ペナルティカード1枚、など太宰の人生が5ページにギュッと凝縮されていた。太宰の作品が数多く引用され、独特の著者の読み込み・解釈が面白かった。現代人の生きる苦しさが、「太宰の毒」と融合すると症状が軽減されるようだ。あぁ、もう一度、太宰を読み直しみたい、とつくづく思わせる1冊だった。2020/07/18

いたろう

68
太宰治の小説から抜き出した文とその解説。齋藤さんの言葉に対する感覚の鋭さには、いつも惹きつけられるが、その齋藤さんによる太宰の解説と聞いて、これは読まずにいられないと手に取った。『その毒の強さゆえに、太宰の作品を読むと、何かに「たどり着く」というよりは、何かに「迷い込んだ」ような心持ちがするのではないか』というのは、けだし慧眼。太宰の文章は、アフォリズムに満ちているが、今まで素通りしてきた文の中にも、齋藤さんが取り出すことで、新たな表現の魅力に気づかされるものがあり、ますます太宰に「迷い込み」そうになる。2020/07/21

陰翳rising sun

18
太宰治の魅力がわかりやすく解説されている。太宰を初めて読む人にも、読んだことのある人にもオススメ。自分も案外と細かい内容を忘れていることに気付かされた。原作を再読三読しなければ。 解説は現代人へ向けたのもになっていて、例を挙げると、SNSが流行しているからこそ「人間失格」で道化という処世術を考えるとか、「斜陽」で破滅の過程を追体験して道徳観を問い直すなどなど。今の世にも通じる太宰作品のテーマがある。 全部を読めなくても三つ目の穴(第三章)と七つ目の穴(第七章)だけは読んでほしい。太宰へのイメージが変わる。2020/03/22

スリーピージーン

11
タイトルにひかれて読んだが、青少年向けの、太宰の作品案内だった。マイナーな短篇も紹介されてるので、思い出すのに便利。著者は、なんとか若者たちに読書の楽しさを伝えようと努力されているが、私たち大人にとっても有用な著作が多いので、ハズレは少ない。2020/06/26

まゆまゆ

10
まず、表紙が好き。いい写真ですよねこれ。タイトルも好き。思わず読みたくなるタイトル。太宰のハマるポイントを、10個の「穴」として紹介しています。ああ、私は10個もの穴に落ちていたのか…笑 再読したくなりました。齋藤さんも何度も触れていますが、太宰は書き出しが魅力的。読み始めた瞬間から、グッと引き込まれる書き出しが多いです。確かに、「メロスは激怒した」なんて書かれたら読まずにはいられないですよねえ😌2020/12/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/15452129
  • ご注意事項