山と溪谷社<br> ヤマケイ文庫 アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~

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紙書籍版価格 ¥1,210
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山と溪谷社
ヤマケイ文庫 アイヌと神々の物語~炉端で聞いたウウェペケレ~

  • 著者名:萱野茂
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 山と溪谷社(2020/03発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784635048781

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内容説明

アイヌ語研究の第一人者である著者が、
祖母や村のフチから聞き集めたアイヌと神々の38の物語を読みやすく情感豊かな文章で収録。
主人公が受ける苦難や試練、幸福なエンディングなど、ドラマチックな物語を選りすぐった名著、初の文庫化。


千葉大学文学部教授 「ゴールデンカムイ」アイヌ語監修 中川裕
「ウウェペケレには、カムイ(自然、環境)との関わり方や生活の知恵がちりばめられ、人としてのあり方、心構えといったようなものについての教訓も含まれている。
主人公の受ける苦難や試練、それを解決して幸福なエンディングにいたるドラマチックな展開に心躍らせ、長い冬の夜を心豊かに過ごせるような楽しみが詰まっている。」
(本文寄稿より)


心理学者 河合隼雄
「「ウウェペケレ」は「昔話」そして「お互いの心が洗われる」ことを意味する。アイヌ研究者、民俗学者などはもちろん、人間の生死について深く考えようとする人々に広く推薦したい。」
(推薦の言葉より)


アイヌ語研究の第一人者である故・萱野茂氏(第32回菊池寛賞受賞)が残した
知られざる名著『カムイユカラと昔話』(1988年刊・小学館)から、昔話(ウウェペケレ)を初めて抄録・文庫化。

著者は、幼い頃から毎日、祖母のてかってさんにウウェペケレを聞いて育った。
本書は、祖母や村のフチ(おばあさん)から聞き集めたアイヌと神々の38の物語が、読みやすく情感豊かな文章で綴られる。
著者による冒頭解説「アイヌと神々の世界」では、著者の子どもの頃の記憶から当時のアイヌの生活をうかがい知ることができ、
ウウェペケレやカムイユカラといったアイヌの口承文芸についてもわかりやすく解説されている。

さらに、38の話すべてにわかりやすい解説が添えられ、アイヌの文化や習俗を知る意味でも面白く貴重な一冊。
文庫化にあたり、『ゴールデンカムイ』のアイヌ語監修を務める研究者・中川裕氏による寄稿を収録。


〔もくじ〕
アイヌと神々の世界 萱野茂 〈神々と人間の昔話〉身代わりの美女/怪鳥とくすり水/クマと狂ったサル/カラスと赤ん坊/子どもと遊んだ神/
村おさは化け物/犬は聞こえた/鬼の岩屋/氷の井戸/ヘビの血/二羽のカラス/私は十三人兄弟の末っ子/羽毛の海/黒ギツネのイナウ/
三本足の大グマ/私の名はイクレスイェ/狩小屋でクモ神が夢を/スズメの恩返し/人食いじいさんと私/クマ神の横恋慕/消えたちんちん/
着物の片袖/カツラの木の女神/魔法の小袖/エゾマツの女神/からっぽやみの女/恋路のじゃま/淫乱の群れ/リスと平原の化け物/
七人目の婿/四つ爪のクマ/キキンニの女/女のたしなみ/妻が私に筋子をかけた 〈川下の者と川上の者の昔話〉パナンペとペナンぺ/
パナンペと小鳥 〈和人の昔話〉打ち出の小づち 〈言伝え〉国造りの神とフクロウ


■著者紹介
萱野 茂(かやの しげる)
1926年、北海道沙流郡平取町二風谷に生まれる。小学校卒業と同時に造林・測量・炭焼き・木彫りなどの出稼ぎをして家計を助ける。
アイヌ語研究の第一人者でアイヌ語を母語とし、祖母の語る昔話・カムイユカラを子守唄替りに聞いて成長。
昭和35年からアイヌ語の伝承保存のため町内在住の古老を中心にアイヌの昔話・カムイユカラ・子守唄等の録音収集を始め、金田一京助のユカラ研究の助手も務めた。
昭和50年、『ウウェペケレ集大成』で菊池寛賞受賞。また昭和28年からアイヌ民具の収集・保存・復元・研究に取り組み、昭和47年「二風谷アイヌ文化資料館」を開設。2006年に死去。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちえ

52
アイヌ民族初の国会議員、アイヌ語研究者の萱野茂さんが、上の世代の人達が語ったテープ録音を日本語に起こしたウエペケレ(昔話)絶版だったのが文庫で再販。アイヌの生活ぶりや神々や自然との関係が直に伝わってくる。神様を叱りつけたり脅して取引きをしたり、神様も言い訳したりでとても面白い!猥談もあるけどおおらかで明るいなぁ。私は萱野さんの生まれ育った二風谷の隣町に10年以上前に住んでいたので地名も馴染みがありとても懐かしい。それぞれのお話に続く萱野さんの解説がまたいい!割愛された半分のウエペケレも是非本にしてほしい。2020/03/25

saga

49
アイヌの昔話・ウエペケレは興味深い。神と人が近しく、食料としての熊やシカは、狩猟の結果死ぬことによって神になる。他の動植物にも神性が宿っている。そして、人の不利益になることがあると、人が神を叱るという考え方が面白い。物語の構成は多分に教育的でパターン化されている印象。それは厳しい北の大地で自然と共生する知恵なのだろう。破裂音、促音が多いアイヌ語を日本語表記に翻訳しているので、小さいラやレ、良く出てくる地名のユペッなどを、どのようにアイヌの方が発音するのかが知りたくなった。2023/10/04

ふう

26
同じパターンで語られる話が多いが、どれも神々、人々が生き生きと描かれて楽しい。家に入る時の決まり文句とか、お話の最初、何不自由なく暮らしていることの表現とか、リズムがあって、アイヌ語の響きで聴いてみたい。ラストのほとんどは主人公たちがこの世を去っていく場面で、これも新鮮に感じた。神々と人が対等で、恋したり嫉妬したり楽しいが、神々の中に身分があるのが不思議。驚いた時は口や鼻から魂が抜け出ないように手で押さえるのがなんともユーモラス。2022/12/08

サケ太

19
アイヌの昔話集。作中で出てくる物や風習については解説があるのでありがたい。独特な雰囲気を感じ取れるお話。人食い人間が人間の子供を育てた話は印象に残る。残酷な所業もカムイによるもの、という事にしているが、それが登場人物の救いにもなっているのがいいな、と感じた。2022/06/01

ソルト

13
漫画『ゴールデンカムイ』が大好きでアイヌの文化に興味がわき手に取りました。アイヌの著者が録音収集した「ウウェペ ケレ」=アイヌの「昔話」を集めた一冊。アイヌには植物や動物、火や水など様々な神々が登場し、人々と近い関係にあります。人々に手をかしたり、悪さをしたり、時には神が人間に恋をし横恋慕しようとしたり…と読みやすくいろんなお話を読めて面白い。一つ一つ解説や、アイヌの民具を絵と一緒に見れて勉強になる。漫画も好きなので「あ!ここに出てきた道具だ」となりそちらも好きな方にもおすすめです。2020/04/17

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