内容説明
妻・唯を殺害した罪で服役後、37歳の吉川森二は他人との交流を拒み孤独に生きることを決めた。何より大切だった唯とその兄の圭介との絆は失われ、一人娘の冬香からも激しく糾弾される森二を、新たな試練が次々と見舞う。オブリヴィオン=忘却と赦し。赦されざる罪を犯した男に、救済は訪れるのか。闇の中でもがき生きる人間の痛みと希望を描く、傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
124
人気があり自分も好きな作家だが、本作の感じ方は少数派かも。グロテスクな気持ち悪さと、作品としての面白さはある意味表裏一体。ただ、それにしても不幸感を出すためとはいえ、あまりにもクズすぎる人々や現実離れした仕掛けにちょっと…作者の描くこの果てしない絶望感をどのようにとらえるかは意見の分かれるところかもしれない。とは言え、読者を物語に引きずり込む筆力はやはりさすがと言うしかなく、前を向けるラストにもちょっと救われてやれやれといった感じです。2020/08/11
相田うえお
101
★★★★☆20058【オブリヴィオン (遠田 潤子さん)】主人公の男性が4年の服役を終えて出所したところから話は始まります。男性が我が子を病院に連れて行った際、血液型の辻褄が合わないことに気付きDNA鑑定を。血の繋がりがないとの結果から、彼は妻を問い詰めるうちに誤って命を奪ってしまいます。もう先が気になるでしょ?遠田さん作品は、これでもか!というほど絶望的な人物設定でズン!とくるんですけど、何故かカッパえびせんの様にやめられない止まらない!本作品を面白いと表現するのもどうかとは思いますが、面白かった〜!2020/05/20
H!deking
99
ぐー、せつねー!Amazonのあらすじより→娘の目の前で妻を〈殺した〉森二が、刑期を終えたとき、彼の「奇跡」と「罪」が結びつける二人の〈兄〉が待っていた。憎しみと欲望が、森二の廻りを渦巻き、暴走する! 森二は苦しみを越えて人と自分を救う「奇跡」を起こせるのか!?←ざっくり言うとこういう感じです。のめりすぎて一気読みでした。遠田さんのこの重い感じ、すっかり癖になってます。おすすめ!2020/10/27
アッシュ姉
77
遠田さん七冊目。暗い重い辛いの三重苦なのに読む手が止まらない遠田劇場。今作もストイックなまでに自分を責めて責めて責めまくる主人公を見守った。続けて読むのはしんどいが、気がつけばまた恋しくなる。すこし間をあけて『冬雷』へ。2020/04/21
のり
70
10代の頃から裏社会に身をおいていた「森二」を救った兄妹。そして結婚にまで至ったが、妻を殺害した。殺意はなかったが、悔やみきれない。口論の事情を考えれば尚更辛い。罪を犯した重しと、「奇跡」と呼ばれる能力をもつ二重の苦しみ。それでも二度目の人生やり直しを祈りたい。手助けをしてくれる人達も皆無ではない。流石の遠田作品だった。2024/09/23
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