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内容説明
AIが世論を誘導する――。一見信じがたい話が、「デジタル選挙戦略」としてすでに世界中で展開されている。個人情報をAIが解析してウェブの政治広告をパーソナル化する「マイクロターゲティング」の手法から、複雑化するフェイクニュース(ディープフェイク)の実際まで。2016年にトランプ大統領が誕生した一因とも言われるその技術は今いかに高度化し、どれほどの影響力を持つのか。2016年大統領選から観測・取材を続けてきた「クローズアップ現代+」制作チームが、世論操作の告発者や関係者の生々しい証言を手がかりに、日本にも迫りくるその危機と民主主義の未来を探る、渾身の取材記録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
47
2016年のアメリカ大統領選挙等を例にして、AIを駆使したマイクロターゲティングやプロファイリングが、如何に巧妙に世論を操作できるかの実態が示される。市民がSNSを武器に立ち上がった「アラブの春」から10年経たないうちに、ソーシャルメディアは光より影の存在になってしまった。AIによって民主主義が形骸化されようとする危機に瀕した今こそ、EUのGDPRのような取組みが必要不可欠なのかもしれない。この本を読むと、単なるデータ保護法かと思っていたGDPRが「21世紀の人権宣言」だというのも、納得できる気がする。2020/04/10
hatayan
41
ビッグデータを解析した世論操作が着々と進んでいることに警鐘を鳴らす一冊。前半では、フェイスブックが保有する大量の個人データが流出、AIにより解析されSNSの政治広告に利用された事案を紹介。後半では、日本で進むデータ保護が企業の競争ありきで進んでいることに違和感を表明します。 2010年代初頭は「アラブの春」で市民が用いていたSNSが、今やプロパガンダに利用されるなど影が浮き彫りに。同時期に出版された『幸福な監視国家・中国』も合わせると、個人データを収集されることに我々は無防備であると気づかざるを得ません。2020/02/25
tetsu
14
★4 マイクロターゲティング広告の有用性がよく分かる本です。 アメリカでは大統領選が政治の一大イベントで盛り上がるので、AIと民主主義というテーマで、この話題を展開しているが、もともと民主主義にちょっと疎い日本にはなじまないのかも。 ただ、権力者がネット上のビックデータとAIを駆使して、人々の感情をコントロールし、世論を形成することには注意が必要でしょう。2020/03/31
RED FOX
13
「AIが人間のパターンを読み切れば、私達は簡単に操られてしまうでしょう」薄々皆が想像している通りの世の中になっちまったのかもしれないです。ディープフェイク(偽動画)には気を付けましょう。2020/09/20
ta_chanko
12
ビッグデータの解析により、個々人の趣味趣向・思考や行動のパターン・政治スタンスなどが手に取るように分かるようになり、商用に留まらず政治的な広告がマイクロターゲティングとして個々人に届けられる。受け手はそうと気付かないうちに思考や行動をコントロールされてしまう。目的のためには手段を問わず、極端に単純化したメッセージやフェイクニュースを送りつける。民主政治が衆愚政治に陥るのは歴史の必然だとしても、この状況を何と呼ぶべきか?人々の主体的な思索・行動は確保できるのか?アメリカの現状 は、10年後の日本か?2020/04/01