ハヤカワ文庫NV<br> 七つの墓碑

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ハヤカワ文庫NV
七つの墓碑

  • ISBN:9784150414627

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内容説明

ナポリ近郊の墓地で、惨殺死体が発見された。犠牲者はカモッラ・ファミリーのボス。その名が刻まれた墓碑の前に捨てられていたのだ。だが、墓碑はひとつではなかった。全部で七つの墓碑が、これからの殺害を予告するかのように残されていた。警察の懸命の捜査にもかかわらず、犯人の魔手は次なる犠牲者へと忍び寄る。そのころ、七番目の墓碑に名を刻まれた男、ミケーレが20年間の服役生活を終え、刑務所を出所するが……。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

buchipanda3

111
イタリアン・ノワール小説。現代が舞台だが雰囲気としては古き良きなものを感じさせる。出てくるのは悪い奴らばかりだ。その中でも主人公のミケーレは札付きで20年の刑期を終えたばかり。彼は復讐らしき事件に巻き込まれ、狙われもするが何かを狙ってもいる。その目的のためには一切の容赦がない姿勢はまさに悪人。へらへら野郎への挨拶で読み手を引きつけ、サイコ野郎にはそれを上回るもので圧倒する。ただ暴力的なだけではなく、行間に挿まれる古典名作の引用で彼の心情を見せつける。そんな心の有り様が結末に繋がっていたのだなと。2020/04/17

HANA

62
墓地に建てられた七つの墓碑。そこに名前を刻まれた人物が一人また一人と殺されていく。猟奇的なサスペンスを連想していたのだが、マフィアが色濃く絡むハードボイルドなノワール小説だった。主人公が出所したての元マフィアで暴力を行使する事に躊躇いが無いものの筋は通すという一昔前の仁侠映画みたいな人物、名前を刻まれているのが全てマフィアとピカレスクロマンとしての魅力も含まれている。主人公の行動原理こそ最初わからなかったものの、ある一文を目にして初めて理解できるというミステリ的満足もあり。でもやっぱり色々エグいよなあ。2020/06/15

ナミのママ

58
先月の『パードレ』に続きイタリア作品。今回は登場人物名と通称名に最後まで苦戦しました。名前を刻まれた墓碑の前に捨てられた惨殺死体はマフィアファミリーのボス。墓地には全部で七つの墓碑が残され、殺害予告だった。追う警察、名前を刻まれた暗黒世界の人々。そして七番目の男、ミケーレは20年の服役を終えて刑務所から出所する。…マフィア世界を軸にしたハードボイルド。イタリアマフィアについてほとんど知識がないので想像力が追いつかず苦戦したものの、ラストが良かったので続編が出たら読むと思います。2020/06/20

うまる

36
名前が刻まれた七つの空の墓碑、その墓の前の一つの死体。というあらすじから予告殺人ミステリだと思って読み始めましたが、人間ドラマで読み応えがありました。悪い事をした人間が報いを受けるのは自業自得ではあるが、日々生きる糧を得るのにも困難で、マフィアとドラッグが蔓延している環境の中どう生きるのが正解だったのか。著者は刑務警察という事で、囚人を沢山見てきて思う所があったのだろうなと感じました。各章で刑務所の図書館にある本が引用されている事と、主人公の人生感を変えた要因の一つが本である事がとても興味深かったです。2020/04/09

星落秋風五丈原

30
イタリア語で復讐はヴェンデッタと言う。いかにも粘っこい血液が滴りそうな語感だ。本編はずばりヴェンデッタの物語だ。墓堀男と名乗る謎の人物が、一人を殺して早々にあと六人の死亡をも予告する。ただ殺したいだけならば、わざわざ宣言する必要はない。名指しされた人物の中にはマフィアの実力者もいる。成功させたいならば宣言しない方が実現しやすい。他国に逃げられてしまったらどうするのか。それともやり遂げる相当の自信があるのか。その人物とは誰なのか。二つのヴェンデッタが絡み合いながら進行し、クライマックスへ。2020/11/21

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