内容説明
僕の人生は無色透明だった。日野真織と出会うまでは――。
クラスメイトに流されるまま、彼女に仕掛けた嘘の告白。しかし彼女は“お互い、本気で好きにならないこと”を条件にその告白を受け入れるという。
そうして始まった偽りの恋。やがてそれが偽りとは言えなくなったころ――僕は知る。
「病気なんだ私。前向性健忘って言って、夜眠ると忘れちゃうの。一日にあったこと、全部」
日ごと記憶を失う彼女と、一日限りの恋を積み重ねていく日々。しかしそれは突然終わりを告げ……。
唐突にやってくる衝撃の瞬間。その先に待つ驚きの結末に、読む人すべてが感動に包まれる!
第26回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mariya926
145
先にスピンオフを読んでしまったので、おさらいという感じで読み進めました。それでも興味深く読めました。そして素敵な言葉で溢れていました。ただ透があまりにも綺麗すぎて。本当に好きだったら、もっと苦しくなるはずです。しかも毎日のようにデートできたら、嫉妬とか触れたいとか、もっともっと苦しくて愛おしい。そんな気持ちがまったく出てこないので、ある意味で人間味が出ていない気がします。本当に私から見ても理想的な男性だからこそ感じる違和感でした。そしてこの素敵な恋愛の背後で苦しんでいる人を感じながらの読了でした。2022/08/16
シナモン
144
映画の予習。事故の後遺症でひと晩寝ると前日の記憶がなくなってしまう真織とそんな彼女に恋をした透の物語。記憶は蓄積されなくても感情は残るんだよね。何度も予告で観てたし、だいたいの内容は分かってたけど、実際読んでみると終盤あたりからの展開は想像以上に切なくて…。明日という日が来る保証なんかない。今日という日を精一杯生きよう。これがどんな風に映像化されてるか、映画も楽しみです。 2022/08/09
美紀ちゃん
138
日野真織さんは、前向性健忘、事故に遭って、記憶障害に。 お姉さんが芥川賞をとったのはすごい。 神谷透の家族も色々ドラマがあった。その辺りを詳しく描いてほしかった。 お父さんも、良い方向に向かってくれてホントに良かった。 そして結末は、とても意外なものだった。 日野真緒さんの病気が、、、という流れではなく、 ネタバレなので言わないようにするが、全く違う角度でいきなり、突然、終わってしまう恋。 忘れてしまうのは悲しいが、 忘れない恋だったんだね。 学校図書館に置いても大丈夫な、恋愛小説本。 2021/11/17
芳樹
104
昨日の僕を忘れた君を、今日の僕が憶えているよ––。『無色透明』で何者でもない少年・透と、前向性健忘を患う少女・真織のボーイ・ミーツ・ガール物語。真織からの「私のことを本気で好きにならないこと」を条件として付き合い始める二人が、やがてお互いをかけがえのない相手として思うようになり…。このまま二人で幸せに歩むのかと思わせてからの急転直下の展開には、本当に一瞬時が止まったように感じました。悲しいけれど悲劇でも悲恋でもない、未来に向かう終章にカタルシスを感じます。優しい二人の恋を描く青春物語でした。2020/03/27
オセロ
88
初読み作家さん。 寝ると前の日の記憶を失う記憶障害を患う日野真織と付き合うことになった神谷透。そんな透が真織の友人の綿矢と共に真織の1日を全力で楽しませようとする様子は切なくも優しさに溢れていて。迎えた結末は予想外でしたけど、透と真織の透の関係は紛れもない純愛だったと思います。 2023/06/22