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内容説明
日本の知的水脈において燦然と輝く2つの個性は、自然観と宗教観において多々共通点をもつ。これを表現・思想・人間関係のすべてにおいて比較対照する、類例のない斬新な考察。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
101
時代はかぶるけど、共通点はあまりない気がする・・履歴書150枚も書くなんて、イントラ・フェストゥム(常に祭り)な熊楠2025/02/15
あーびん
19
熊野の南方熊楠と花巻の宮沢賢治。ともに明治・大正期の日本を代表する知性ではあるけれど、この二人を比較するという発想はなかった。イニシャル以外の共通点はあるのか。賢治が『遠野物語』話者の佐々木喜善と交流していたというのは初耳。この時代は心霊や千里眼などの現象を新しい科学や心理学とする研究が活発だったので、知的探求心が旺盛な二人がそれぞれ違う方向性で興味を持っていてもおかしくはない。2021/08/15
浅香山三郎
10
「二人のM・K」、南方熊楠・宮沢賢治を同時代性に着目して比較し、1910年前後のスピリチュアリズム的な文脈の中で読み解く。「横一面男」と「縦一筋男」と言ひ示された二人の芸風はかなり違つてゐて、比較するといふ考へがなかつたが、分子生物学的な関心、宗教と自我への関心、或いは近代文明がもたらす事態(自然の破壊など)への危機意識など、同時代的に共通する面も大きいといふ。欧米の心霊研究やオカルティズム、神智学の流行と、熊楠の密教思想への関心、賢治の法華主義への没入が連関しあつてゐるといふ論点も興味深い。2022/11/04
くり坊
2
南方熊楠と宮沢賢治という、2人の人物における「異なり」を対比させることにより、互いの特徴を明確にさせようとするような内容の本。たとえば、熊楠は「華厳経」だが、賢治は「法華経」といった具合に...。でも、ちょっと中身が薄い気がした。そもそも熊楠も、賢治も、それ単体で十分に論じられる人物であるのに、これを2人ももってくるあたりが贅沢すぎて...所詮は、無理があるような気がする。2022/05/31
町営バス
1
刺激的な本だった。南方熊楠と宮沢賢治の繋がりがスピリチュアル・仏教・自然の中から自然に生まれることに驚いた。世界全体を眺めるための一段高い思想が衆生に広まるためには、彼らはあまりにも愚直だったかもしれないが、その哲学は世紀を超えてニッポン人の魂を揺さぶるのである。2020/08/29