内容説明
考古学調査と並び、邪馬台国論争の鍵を握るのが、「魏志倭人伝」(『三国志』東夷伝倭人の条)である。だが、『三国志』の世界観を理解せずに読み進めても、実像は遠のくばかりだ。なぜ倭人は入れ墨をしているのか、なぜ邪馬台国は中国の東南海上に描かれたのか、畿内と九州どちらにあったのか。『三国志』研究の第一人者が当時の国際情勢を踏まえて検証し、真の邪馬台国像に迫る。「魏志倭人伝」の全文と詳細な訳注を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
29
「魏志倭人伝」の解釈の部分で、岡田英弘「倭国」と、どう違うのだろうという興味で読んだのだが。岡田の結論とほとんど同じであって、拍子抜けした。2020/02/03
mazda
25
邪馬台国九州説vs近畿説とか、正直どうでもいいかな、と思っています。そもそも外国の歴史書を使って自分の国の歴史を探るということに、無理があると思っているのは私だけでしょうか?一般的に、歴史書は時の権力者に都合のいい記述を並べていて、ましてや外国のことになると尚更都合のいいことしか書かないはずなので、それを真に受けてどこにあったと言って意味があるのだろうか、という気がします。日本の歴史書よりも古いものだから見ているかも知れませんが、内容についてはかなりバイアスがかかっていると思うのが自然でしょう。2018/01/25
内藤銀ねず
20
三国志研究の大家、渡邉さん3冊目。そもそも『魏志倭人伝』は正史三国志の一部分なので、そこだけ取り出して読み解こうという姿勢が間違ってたんじゃないかと思わせてくれた。三国志の一部なんだから、三国志研究者が読み解くのがいちばん正しい。記述に沿って朝鮮半島から邪馬台国へ進むと沖縄本島のさらに南の海上になってしまうと言う。「写本が距離(方角)を間違えたんだよ、きっと」ともっともらしい結論を導くのは簡単だけど、それを真正面から「距離も方角もまちがってないよ!」とツッコミを入れた本に初めて出会えて、大満足。2024/07/26
to boy
18
中国古代史専門家が魏志倭人伝を読み解くことで邪馬台国の実像に迫ろうとするとてもまじめな著書。細かい解説は読み飛ばしても倭人伝が載っている三国志がなぜ書かれたのか、どういう背景、偏向を持って書かれたのかがよく分かった。当時の中国の中華思想の強烈な事とそれが現代にまで引き継がれいろんな情報が偏向されていることにも驚きと恐怖を感じた。2020/12/21
terve
15
『魏志倭人伝』は記述内容自体が誤っているわけではないが、そこには陳寿の思惑と当時の情勢が反映された、理念と事実が混在している。したがって、『魏志倭人伝』の成立条件を確認せずして古代日本を理解することはできない。というスタンスで書かれた本書ですが何しろ面白い。実は東夷伝は好意的に書かれていた点であったり、大月氏との釣り合いを取るために大きく書かれている点など興味が尽きません。ただ、書承のものでしかアプローチができない学問の難しさを思い知らされます。新資料の発掘が待たれます。2019/08/18
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