内容説明
脳出血や脳梗塞,大腿骨骨折,パーキンソン病等人生の途中で病気やケガをした人たちが出合うのがリハビリ.本人が自分のもっている力を自ら引き出し,歩く,話す,働くことを再びできるように――四〇年近く,地域でのリハビリを理学・作業療法士,言語聴覚士等とともに実践してきた著者が,多くの事例とともに,その可能性を語る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
85
リハビリテーションは戦後日本に導入され、カタカナの名になる。韓国で再活治療、中国で康復と訳す。当初は疾病により機能障害、社会的不利と一方向に位置づけられたが、国際生活機能分類で双方向の関係でと再定義された。著者は、障害のある人が主体的に社会参加をはたし、支援の受け手から支え手を担うことで地域の人々と双方向に学びあうことを目指している。その「生きる力を引き出す」には高次脳機能障害を知り、脳卒中や高齢社会で増加する骨関節疾患で障害を負った人の心理を理解し、医療・福祉・保健が連携し予防も視野に入れる必要がある。2020/12/04
佐島楓
68
一般的な医学知識を増やすために読んだ。高次脳機能障害による記憶障害や脳梗塞による失語症、中途障害の苦しみが少し理解できた。家族もつらいがそれ以上に本人の意思疎通がうまくいかない状況のほうがつらい。治療にあたる方々も、心身を含めたリハビリの必要がある。実例が多数記載されているので、わかりやすく学べると思う。また90代の超高齢の患者さんでも、回復なさった例もあるようだ。2019/07/29
けんとまん1007
36
サブタイトルの「生きる力を引き出す」が、まさしくリハビリの成否に、大きく関わる。医療の技術だけでなく、取り巻く環境の変化もある。リハビリのイメージも、随分変わってきている。ご本人の症状や御家族、周囲の状況も同じことは、あり得ない。だからこそ、長期にわたるプランと、何よりご本人と御家族のメンタル面のサポート、特に自主性を維持することの意味が大きい。そこが人間ならではのところだろう。2020/05/16
ゆう。
34
リハビリは、単なる機能回復ではない。人が人らしく生きるためにある。そして、リハビリする側だけでなく支える側もエンパワーされていく。この本は脳機能のリハビリの実態を知ることもできた。2019/12/15
きいち
32
昨年まで数年来、父が手術や入院ののち度々リハビリに取り組んできたこともあり、引いた目線で知りたくて読んでみた。いやはや、原因も症状も圧倒的に幅広く、また相当な重症の状態からでも改善の可能性を引き出せることに驚く。◇鍵となるのは「主体性」。リハビリは個々の機能回復だけではなく、患者本人が当事者として活動に取り組む心理的・物理的な環境づくりを合わせての活動。自分が当事者となった場合を想像しないと。◇それにしても、現場の実践家の取り組み読むのって元気もらえる。2020/05/06