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内容説明
地球の2/3を占める海の底に広がる世界――海底。そこに穴を掘って暮らすのがゴカイやユムシ、シャコなどの底生生物だ。彼らは常に海底下に潜って隠れているうえ、多くは体が柔らかく、化石として残りにくいため、近年までその生態は謎につつまれてきた。そこで生痕、つまり「巣穴」を解析するアプローチで彼らの“隠された行動”を明らかにしてきたのが、産業技術総合研究所地質調査総合センターの清家研究員だ。サーフィンのごとく波乗りして移動する底生生物とは? 水深1000mを超える海底の巣穴に樹脂を流し込んで判明した事実とは? 東日本大震災前後で三陸沖海底の生態系に起きた激変とは? 世界初となる発見を重ね、文部科学大臣表彰・若手科学者賞を受賞した氏が驚くべき、そしてどこかユーモラスな底生生物の生態と海底の神秘を綴る。この世界は、彼らの巣穴で満ちている!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
72
ゴカイやユムシなどの底生生物が、海底に穴を掘って暮らすってこと自体が初耳。なるほど海辺の砂場に穴が空いているのを目にすることはあったが、こうした生態があったとは驚き。しかもその穴は、彼らの体の数十倍の大きさ。生き延びるための戦略だろうが、知らない世界が海の底に広がっていることを思うだけでも、生き物の世界の奥深さを感じさせてくれる。巣穴の形を取る方法も興味深い。こういう研究があるってことを知るのも意義があろう。ただ珍しい生き物たちの画像をもっと観たかった。2021/08/12
アナーキー靴下
66
これはお気に入りの方の感想を見なかったら手に取らなかったかも。確かにタイトルがカタすぎる。むしろ今表示されている帯のイメージそのもの(「地球は彼らの巣穴だらけ」「“謎”しかない底生生物に迫る!」)で、あまり知られていない底生生物という海の生き物を楽しく説明してくれる本。難しい知識不要の生態話は、生き物系ドキュメンタリー番組を観る程度の気楽な気持ちで読める。シャコやゴカイやエビの巣穴生活に興味がある人は是非! ただ、著者の「最強」「かわいい甲殻類ナンバーワン」「幻」等の話に共感するのは難しい、がそこがいい。2021/04/05
ホークス
42
2020年刊。生物の本は好きだけど、底生生物はよく知らなかった。干潟から深海まであらゆる海底に住んでいる。ゴカイなど環形動物、様々な形のウニ類や貝類、蟹やエビなどの甲殻類。カキなど濾過食者は海水を浄化してくれる。砂地には彼らの棲む穴が無数にあり、海藻の破片や微小な有機物を食べている。底生生物が海の環境を整えているらしい。波打ち際に適応したフジノハナガイ(二枚貝)には驚いた。波に転がされ、着地するたび素早く砂に潜る。天敵のキンセンガニもやはり波打ち際に棲む。泡に隠された世界でどんな攻防が行われているのか。2022/11/03
四不人
5
文章は悪くないし、内容もとても興味深い。若い生物屋さんの熱意にすごく好感ももてる。だが、あえて言えば造本が悪い。なぜこんなにスカスカ感があるんだ。もう2.5倍くらい書かせて膨らませんかい! タイトルのセンスも今一つ。編集者が悪い。中身がすごくいいだけに、なんか腹立つなあ。それにしても巣穴の型取りは面白い。この話だけでももう一冊書けそうなのに。まあ、研究が進展してるときはそんな暇はないかなあ。2020/06/16
空
4
うーん、内容が割と薄かった気がする2023/04/12