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内容説明
《「日本」とは、畢竟(ひっきょう)、「日本語」である。日本語の根本原理を蔑(ないがし)ろにしたときこの国は崩れる!》 古来、「天」から「地」へ向かう重力と格闘しつつ、縦に文字を書き、言葉を紡ぐことによって日本人の精神は醸成されてきた。日本語を横書きにすることは、英語(アルファベット)を縦に綴るのと同じ「愚」である。だが、その愚行が世を席捲したいま、日本人の精神は荒み、崩れつつある。その最大の犠牲者は、言葉を習得途上の子どもたちである。パソコン、ケータイ=ネット社会に狙い撃ちにされる彼らは、日々見えない血を流している……。「改革」の名の下に暴走する現在の日本を、気鋭の書家が人間と言葉の根源から見据えた警世の書、待望の電子化!
目次
【本書の内容】第一章 言葉が力を失った社会 第二章 「日本」とは「日本語」のことである 第三章 「縦書き」こそが精神を救う 【付録】(1)平仮名の字源 (2)片仮名の字源 (3)筆順をまちがえやすい漢字
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鉄之助
216
副題「横書きが日本人を壊す」は刺激的だが、内容はすごくまっとうなことを言ってる気がする。日本=日本語、は飛躍してるとは思うが、世界的にも稀な言葉「日本語」を考えるうえで参考になった。日本語は、「文字を話し」「文字を聞く」言語で、書くことは「土を耕したり、目印を刻む」ことに通じる、とも。書家らしい筆者の分析だ。確かに、メールやチャットで済ます会話は、「手触り感」がない。感情が伝わりにくく、誤解や切れやすい展開になる、というのも頷け た。私の身近にもいる。席が斜め向かいなのに、メールを送って来るヤツが!2019/07/18
ばりぼー
43
「書く」ことは、筆記具の先端(ペン先)と対象世界(紙)との間で繰り広げられる力のやりとりのドラマである。字を書こうとするとき、紙はただの紙きれではなく、天と地が存在する世界になる。縦に書くことは単に書式にとどまらず、天と地を意識し、書く内容に自制と抑制が働く。日本人は神不在のまま、水平に他者に話すため「縦に書き、横に話す」構造を持つのに対し、欧米では神に対して話しているから、「縦に話し、横に書く」構造になっている。日本人を日々再生しているのは日本語であり、縦に書くことが宗教を代替するスタイルである。2017/05/30
ムーミン
25
一人一台端末の時代が始まり、学校現場を伺うと、低学年の姿勢や鉛筆の持ち方など、これまで以上に気になる子の数が増えている。生きる基本、学ぶ基本として、義務教育の入り口に当たって、字を書くという営みに真っ直ぐに丁寧に向き合うことは、とても大事だと思っていたので、うなずける部分がありました。2022/07/06
Baro
12
武田鉄矢の「今朝の三枚おろし」で,この著者の本を題材にしていたので,どんな人なのかなーと思って手にしてみた。パソコンやケータイで書く文と,自分の手で書く文の違いには,なるほどと思わされた。「パソコンで書かれた文章は『・・・』と曖昧に終わる」と言われ,確かにそうかも,と思った。ちょっと極端な考えに思える論もあったけれど,なかなかおもしろく読んだ。2015/10/03
3s_t_Pta
5
縦書きをしなければならない根拠としては、内容が薄かった。ほぼ、日本語の成り立ちと 社会批判が書かれているだけだった。 その批判も、理論が飛躍している部分が見られ、日本語について書いている割に、誤解を招く表現が多いのではないかと思った。 しかし、言わんとしていることはわかる気がする。失読症の話や、縦書き,横書き,パソ書きの比較の話などは勉強になった。(確か、自分の授業を受けた学生にアンケートをとったとのことなので、統計数としては少ない気もするが) 日本語は縦の方が書きやすいのは書けば誰でもわかると思う。2019/03/13