講談社文庫<br> 湯葉・隅田川・丸の内八号館

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講談社文庫
湯葉・隅田川・丸の内八号館

  • 著者名:芝木好子【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 講談社(2020/02発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061840317

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内容説明

徳川瓦解により禄を離れた幕臣の娘が、湯葉商の養父を助け奮闘する。その半生を細やかな筆で描く、女流文学者賞受賞作「湯葉」。浅草の高級呉服店を舞台に、大正期の趣味人を彷彿させる「隅田川」、ほかに「丸の内八号館」を収録。明治・大正・昭和三代の女の系譜、庶民の生活と時代を見事に描き上げた代表三部作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みなみ

8
武家から商家に養女に出され、湯葉屋で才覚を発揮した蕗。蕗の娘の秋津は対局的におとなしすぎる女性。秋津の娘の恭子は戦前のオフィスレデイー。女三代の生き方を描く3編を収録。「隅田川」「丸の内八号館」の2編とも恭子の物語ともいえる。蕗のパワフルな生き方に心惹かれたが、息子も娘も母の蕗から離れていくのが切ない。恭子の代の物語では左翼活動の取り締まりが物語の中にちらちらと出てきて、女一人にはどうにもできない世相と閉塞感を感じさせる。女性の感情や欲求、心のひだの描かれ方がよい。Kindle読み放題。2023/03/30

やどかり

8
「湯葉」の蕗の孫のお話。娘秋津のことも書かれているが、蕗の芯の強さは孫の恭子へ受け継がれた印象を受けた。昭和の初期になり、恭子がハイヒールを履き丸の内で働いていて近代的にはなっているが、思想統制に恐怖を感じ、関わりたくないと思っているなど、やはり時代を感じる。祖母蕗の時代には女は道を選ぶことはできなかったが、恭子の時代は違う。急激に変わる時代に自分の道を模索する恭子の姿がよかった。恭子のその後が書かれた「今生」もあるということなので、読んでみようと思う。2013/05/12

ワッピー

6
武士から湯葉商家に嫁入りした蕗、その娘で自分の意志をあらわせなくなった秋津、そして自由に育てられ、OLになった恭子の三世代を描く三編「湯葉」「隅田川」「丸の内八号館」を収録。時代を背景にして、女の自由性とは何か、それぞれの時代背景と自由の幅というものが見事に切り出されている。決してわが子に愛がないわけでもないが、感情のもつれ・ささくれがチクチクいたい。夫の裏切りが、義母の理不尽が、時を経て、その噴出先が自分の子供に向かう恐ろしさ。それでも、丸くなった蕗の姿にほっと安堵。湯葉、あらためて食べてみよう!2018/06/16

タツ フカガワ

5
明治期から昭和の戦中期までの50余年に亘る女三代記は、湯葉商店に嫁いだ元幕臣の娘蕗(ふき)の半生から始まります。夫より湯葉に心を傾けた蕗。その後、内向的に育った蕗の娘秋津と粋人の父親菊良のあいだに生まれた恭子と、各時代で苦悩する女性たちの心情が細やかに濃密に描かれます。平易な言葉で、なんでこんなに味わい深い表現ができるのかと、その文章と物語を酔うように楽しみました。2019/05/24

ジュール

3
明治からの女性の三代記。 自伝的小説。 湯葉を商う家に嫁いだ蕗。 湯葉を作る職人、働くことが好きな蕗。夫との埋められない溝。 明治の下町の人々に日常を描く筆力に感心する。 肉食が入ってきて湯葉の消費が落ちてたことは初見。2017/08/19

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