内容説明
学生運動に熱中し、中小企業に就職後も労働運動をしてクビになり、会員制クラブのマネージャーになった津村の前に現われた悠子は、悲しい運命の女であった。男から男を転々としながら彼女が求めていたものは、いったい何であっただろう。美女の奇妙な行動に秘められた悲劇。両親から受けついだ自分の血を呪いながら……。という表題作など、傑作6編を収録。現代社会をたくましく生きる庶民の男と女のバイタリティを描いた、興味尽きない1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カノープス
3
咲くことなく秘められた女たちの人生。夜に生きる女たちの哀歌。悲劇的な要素も強いが、困難な状況においても、たくましく己の身体で運命を切り開く登場人物たちの力強さ。この生命力あふれる描写が読者にカタルシスをもたらす。セクシャルで男と女の間の機微を叩きつけるスタイルだが、金を巡る人間の醜さも執拗に描く。【この世は銭と女】このシンプルな男の根源的慾望を、生きるうえでの衝動と動機として貫いた。本作においては、特に金を通して描かれた当時の世相や登場人物の考え方が興味深い。小説による当時のレポートでもあるのだ。2025/06/29
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