講談社学術文庫<br> 南朝全史 大覚寺統から後南朝へ

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講談社学術文庫
南朝全史 大覚寺統から後南朝へ

  • 著者名:森茂暁【著】
  • 価格 ¥1,155(本体¥1,050)
  • 講談社(2020/02発売)
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  • ISBN:9784065187746

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内容説明

謎多き南朝。その実像は、政治・文化的実体をともなった本格政権だった!

大動乱の時代として日本史に深く刻まれた南北朝時代。しかし南朝の実像は謎に包まれてきた。
室町幕府に対し劣勢に立ちながら、吉野山中に長きにわたり存続できたのはなぜか。
厖大な史料を博捜し、政治・文化的実体をもつ本格政権としての南朝に光を当て、
起源である鎌倉時代の大覚寺統から後南朝まで「もうひとつの朝廷」二百年を描き切る決定版。

【本書より】
本書は、こうした南朝研究の課題と研究手法上の特殊性をふまえて、南朝の前史から説き始め、ピークというべき建武の新政、その後身としての南朝をへて、北朝に吸収された後の抵抗運動としての後南朝の段階をふくめた、いわば南朝の全部をひっくるめた総合的な叙述をすることを目指している。そうすることによって、南朝をつらぬく原理というか、真っすぐ通った一本の柱のようなものの存在を明らかにすることができる。

【本書の内容】
第一章 鎌倉時代の大覚寺統
 大覚寺統の成立
 両統対立の開始
 両統対立の展開
 両統の相剋
第二章 建武の新政
 綸旨万能の成果と限界
 軍事指揮と恩賞宛行
 王統からみた建武の新政
第三章 南朝の時代
 南北朝の併立
 後村上天皇の時代
 長慶天皇の時代
 後亀山天皇と南北朝の合体
第四章 南朝を読みとく
 南朝史料としての『新葉和歌集』
 南朝の組織と制度
 南朝と地方との関係
 大覚寺統傍流の末路

※本書の原本は2005年に講談社選書メチエより刊行されました。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kuroma831

26
鎌倉時代の持明院統と大覚寺統の争いから後南朝までの約300年を描く。両統迭立は鎌倉中期に皇位問題を自己解決できなかった朝廷が幕府に調停を求めたことから始まるが、皇統への介入は幕府自身が望んだのではなく、両統それぞれが自派に皇統を引き戻すための陳情という趣旨が強かった。そのため幕府は両統迭立の原則維持に拘ったが、兄の死で皇位が中継ぎ的に転がり込んだ後醍醐からすると、持明院統だけでなく兄の系統という2つの皇統がライバルとなり、皇位の定着を図るためにも両統迭立ルールやそれを担保する幕府の否定がテーゼとなった。2025/06/22

さとうしん

19
大覚寺統の血筋の恒明が北朝に身を投じつつ、その子息が南朝の護持僧になっているという現象、南朝が小規模ながらも朝廷としての要件を十分に備えていたという評価、南北朝の合一を成し遂げたとされる足利義満も、鎌倉時代以来の両統迭立の原則から完全に解放されているとは言い難いのではないかという指摘、後南朝が説話の世界では意外に長い寿命を保っていたという指摘などを面白く読んだ。2020/02/23

keint

11
後宇多天皇から後南朝の王子たちまでの大覚寺統の南朝の天皇・親王に触れながら南朝の歴史を記述している。 持明院統が幕府に近かったこと、両統を存続させることを鎌倉・室町両幕府が考えていたこと(足利義教によってその原則が破られること)などが、南朝を考察するにあたって重要なことを確認できた。2020/03/09

moonanddai

9
確かに歴史の教科書的には「南北朝時代」というのがありますが、山の中にありなんとなく公家っぽいイメージを持っていた「南朝」ですが、きちっとした朝廷活動(組織・制度・施設・文化的に)が行われていたことがわかりました。かつ後醍醐天皇に代表される王権至上主義の政治姿勢で、北の朝廷より武断的だったようです。南朝の萌芽は鎌倉中期にあり、「後南朝」と呼ばれ反幕府勢力に担ぎ出されたり、「説話」に登場する時代まで入れると、「南朝」というものは日本史の中で前後200年続いたとあります。相当根深いものがあるようです。2020/04/22

qwer0987

7
南朝の歴史をその始まりから語り起こしており、極めて読みやすく読みごたえもある。南朝は敗者であるため資料は残りにくいが、残ったあらゆる資料を調べることで、その姿を浮かび上がらせていく様は見事だ。いろいろ新鮮な視点が多く、南朝が訴訟において聖断至上主義だったことや、後醍醐天皇が中継ぎの役割だったことが彼の行動の遠因になっていたことや、南朝が落ち延びた後も朝廷の儀式を続けようとしていたことなど、いろいろ知れて勉強になった。良書である2022/09/26

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