内容説明
考現学は未来を考える立場だ──。ジャンパーを着て日本中を歩き回り、民家、服装、都市文化、世相など現代風俗研究に前人未到の足跡を遺した第一人者が綴る生活者の視線。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
30
路上観察学にハマったとき(必死にトマソン探してました)に知った著者。バラック装飾社の活動はすごいカッコイイと思ったし、気が狂ったような観察記録も楽しかったが、その文章をまとめて読むのは初めて。大正末期から高度成長期まで50年にわたって、表現や観察の姿勢から日常まで広く集めている。◇柳田国男の弟子でありつつ離れて独自の世界を作っているのは宮本常一と同じだが、この人はよりモノへの執着が凄い。集めて位置づけて整理して…。どんなモノに対しても意味づけできる力はどの文章からも感じられて、何だかやはりとても楽しい。2019/11/28
ジャズクラ本
12
○今和次郎氏について何の知見もないが、本書を読む限りとても気さくな方のように見受けられた。考現学という民俗学の一カテゴリーを立ち上げられた方の様だが、親しみやすい文章で肩肘はらずに読むことができた。身なりは冠婚葬祭から高松宮や米国大使との会談にいたるまで一貫してジャンパーにズックという出で立ちで通されたとある。晩年(1967年)に出席された結婚式で、「50年後には結婚式も私のようなスタイルになる」と予言されているが、どうもまだそうはなっていないようである。否、最近の人前婚はこれにあたるのかな。。うーん。。2019/10/24
Sakurai Daisuke
4
考現学という学問を通して世間を観察すると日常も面白いものなのではないかと思えてくる。 今の時代から当時を見てみると考現学で調べられたことが時代を読みとく資料として、現代においてもはっきりと再現されていく素晴らしさを感じた。 考現学を発案した今和次郎に感謝したい2019/12/09
夏みかん
3
学者さんとしては珍しく目線が低いというか身近に感じられる方だったんだろうなと思った。街中の身近なモノに心惹かれる人だし、その心も街中の普通の人と共にあったんじゃないかな。常にジャンパーにズックというのは逆に徹底しすぎてて頑固さを感じたけどね。残念ながら結婚式や葬式にジャンパー姿は今でも厳しいなあ。。2019/11/28
たね
2
考現学は初めて触れる学問だった。現代の風俗や世相研究にたいして取っている態度や方法、その仕事全般を考現学と定義していたが、社会学など色々な学問に繋がりそうだと思った。銀座の街角のスカートの長さや、深川の貧民窟での観察、雪国の民家のスケッチなど色々な場所の風俗の記録はただただ面白かった。「早稲田村繁昌記」は今の早稲田ができるまでの記録で、改めてその歴史の上で学んできたんだなと感じた。「家のなかというものは、普段着だ。」ということばが印象的。2023/01/11
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