新潮文庫<br> リア家の人々(新潮文庫)

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新潮文庫
リア家の人々(新潮文庫)

  • 著者名:橋本治【著】
  • 価格 ¥605(本体¥550)
  • 新潮社(2020/01発売)
  • 真夏も楽しく!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/11)
  • ポイント 150pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101054186

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内容説明

帝大出の文部官僚である砺波文三は、妻との間に3人の娘をもうけた。敗戦後、文三は公職追放の憂き目に逢うが、復職の歓びもつかの間、妻はがんで逝く。やがて姉たちは次々に嫁ぎ、無口な老父と二人暮らしとなった年の離れた末娘の静は、高度成長の喧噪をよそに自分の幸せを探し始めていた。平凡な家族の歳月を、「リア王」の孤独と日本の近代史に重ね、「昭和」の姿を映す傑作長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かふ

15
シェイクスピア『リア王』を戦後の日本に重ねた昭和時代小説。『巡礼』『橋』と昭和三部作と言われるらしい。一番最後が『リア家の人々』。橋本治が昭和を振り返るという平成時代。前の2つの作品は重要度高そう。これはまとめに入っているというか、時代を俯瞰した記述だからか、世相を説明しすぎて物語はあまり入ってこない。シェイクスピア『リア王』との違いは、父親の権力が弱まっているところか。以下https://note.com/aoyadokari/n/n07e170a8dfc02021/10/22

Sakie

14
「リア王」を、戦前戦後の日本の家庭に置き換える企み。妻を亡くした男と3人の娘。父にはぼんやりとした思惑しかなく、娘には長年培ったわだかまりがある。摩擦が表面化する場面の日本っぽさや、決して無垢ではない末娘が思わぬ行動に出るあたり、橋本治らしい意地悪さに満ちて面白い。それだけに留まらない。日本の社会を覆う"体質"が、日本人個々の思想のなさの集積的帰結であるという指摘のために、時代設定をし、社会の動きをつぶさに描くのにかなりの頁を割いている。結果としてのこの空虚な、読後感がどこからくるか考えあぐねている。2025/05/15

ソングライン

14
戦前文部省の高官の地位にいた主人公文三は戦後、公職を追われます。3人の娘と妻、困窮と苦汁の戦後、やがて公職に復帰するも、愛する妻を癌で亡くし、生きる目的を仕事にも家庭にも持つことができなくなる文三。上の二人の娘への冷めた愛情と小さい時、自分を無心に慕ってくれた末娘への偏愛。作者は戦後から復興する日本の中で、次第に薄れていく家長制度とその愛情が上手く表現できず、孤立していく父の姿を描いていきます。妻の一周忌に再婚宣言をする不器用さと末娘の将来のため、家から送り出す静かな愛情に共感しました。2019/09/24

...

7
タイトルが「リア家の人々」であることも関係あるかもしれませんが、王である父の話ではなく、その周りの人々の(つまりは娘の)話でした。「巡礼」もそうでしたが、この作者の冷徹な人間観察力というか、誰に対しても容赦無い感じ、すさまじいです。生きているだけで人間何かしらやらかしてるような気がしてくる。昭和の知識があったなら細かいところまで読み込めたんだろうなと思います。2013/05/05

れみ

3
橋本治さんは、古典文学や古典芸能の解説本をいくつか読んだことがありましたが、小説は初めて読みました。家庭の中のことや世のなかの動きを行ったり来たり、過去と現在を行ったり来たり…、という感じで物語が進むので、多少「ん?いまどこ…?」というところもありましたが、確かな文章力に概ね安心して読み進めることができました。ただ、シェイクスピアの「リア王」を王と三人の娘が出てくるお話で黒沢明監督の「乱」のもとになったお話、ということしか知らないので、どのくらいリア王的なのかが私には判断できないのですが…(^^ゞ2013/02/28

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