内容説明
優しくぼくを見つめる、母と思っていたその人は母ではなかった。ぼくは捨て子だったのだ……。家を追われた8歳の少年レミは、謎の老旅芸人ヴィターリスの一座に加わり、芸をする動物たちとともに巡業の旅に出発する。大都会から炭鉱町まで、時に厳しい荒野を渡り、吹雪を耐え、川を越え――レミは真の幸福を求めて旅を続ける。時代を超えて読み継がれるフランスの児童文学の傑作を完訳!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
97
育った家を追われた「捨て子」のレミは老旅芸人ヴィターリスの一座に加わり放浪生活を送る。登場する様々な人物に加え、一座の動物たちまでいきいきと描かれており、レミの波乱に富んだ人生を豊かに彩っている。上巻ではレミに知恵と愛情を注ぐヴィターリスとの絆に特に重点が置かれている。「どんなにみじめな境遇になっても、誇りだけは失わなかった」ヴィターリスの生き方はレミにも大きな影響を及ぼしていると言えるだろう。大切なのは家や金があることではなく、「自分が愛し、自分を愛してくれる人たち」を喜ばせられる人間になることなのだ。2021/02/24
spica015
16
有名だがきちんと読んだことのなかった作品。年端も行かぬ少年がいくつもの出会いと別れを繰り返し、本当の愛情を求めて流浪する姿が余りにも健気で胸を打たれる。優しい母は実の母ではなく、家を出て旅芸人ヴィターリスと巡業することになるレミ。もうこの時点で辛いのだが、これでもかとレミを襲う艱難辛苦に、だんだん表紙絵を見ることすら悲しくなってくる。でも基本的にレミが出会う人々は良い人ばかりなのが救いと言える。完訳版であり下巻に続くが、なかなかに読み応えのある冒険物語。レミにはちゃんと幸せになってほしいな。2019/09/15
caramel
11
日本のドラマのイメージしかなかったので、今まで未読でしたが、読んでみたら凄く共感しつつハラハラもあり、感動もして、さすがに名作だと思いました。子供の時に読んでおきたかった!訳も凄く分かりやすくて、凄く古い小説なのに違和感なく読めました。下巻も読むので楽しみです。2021/02/22
桐ヶ谷忍
9
突然自分が捨て子だったことを知らされたレミは養父に家を追い出されてしまう。レミを迎えたのは、猿・犬が芸をするヴィターリス一座。彼らは巡業の旅に出る。本当の家族を探しながら…。昔絵本で読んだのとはずいぶん違うことに驚いた。まず児童文学にしては、あまりに過酷。たびたび独りきりになってしまうが、その度に旅の同行者が出来ることが心温まる。2020/02/21
駒
7
安達祐実さんのドラマの印象しかなかった家なき子。フランスの小説があったとは知らなかった。児童文学?なので読みやすいです。厳しい人も優しい人も出てくるのがリアル。なかなか辛い状況だけど、主人公には生き抜いて欲しいなぁ。下巻へ。2020/12/06