内容説明
「正しいと思うホームを見つけてそこで待っている汽車に乗る。でも走り出すと行く先が違う。人生ってそんなものさ」――結婚、戦争、酒、仕事、政治…多岐に亘るテーマについて、シェイクスピア、チャーチル、ウディ・アレンなど古今の賢人たちはどう語ったか。独自の視点で選んだユーモラスで味わい深い言葉の数々は、今を生きる私たちの心にじわりと効く妙薬。単行本に大幅加筆した完全版を電子化。
目次
政治家たちよ!
リッチマン、プアマン
映画について、主席に言うべき二、三のこと
マルクス兄弟主義宣言
TV! TV!
科学者を信用しよう
愛国心について
結婚の真実
旅に出よう
死について
酒飲みの言い訳
口腹の幸福
戦争ですよ
悪口は楽しい
言葉、言葉、言葉
成功の甘き香り
愛と嘆きの自動車
作家という奇人たち
モンローマニア
スコットランドの人と土地
恋の季節
老人たちよ
王さまは大変だ
組閣しましょ
看板に偽りあり
魅惑と疑惑のアメリカ
お絵描きの時間
暖かいですね
罪と罰、犯人と警察官
嘘ばっか!
我が師の恩
自殺の誘惑
ナウ・ユー・ハズ・ジャズ
イギリス人は……
アメリカ人のお買い物
新聞の罪と罰
歴史のお勉強
詩人の魂
人生について
脱線コンピューター
エス・イー・エックス
仕事について
演技する人々
ホモについてのお勉強
ギリシャ人の知恵
親知らず・子知らず
病気についての考察
音楽の捧げ物
引用されるウディ・アレン
エコノミストたちよ
あとがき
文庫版のためのあとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
235
池澤氏が英米紙のコラムなどから拾ってきた名言集に寸評を加えたもの。いずれもなかなかユーモアとウィットに富む。東欧のアネクドート風の辛辣な政治風刺あり、人生の機微を短い言葉で巧みに語ったものありと様々なタイプを集めている。それを意図していたわけではないが、結果的にはジョーク集の観を呈することになった。いずれも面白く読めるし、どれが一番という点では、かなり意見が分かれそうだ。私のベストは旧東独製の車、トラバントをからかったくだり。問・トラバントの新車マニュアルにはどんな情報が含まれているか?答・バスの時刻表。2015/07/29
KAZOO
94
この作品集が月刊誌に連載されていたとは思いませんでした。池澤さんにしては若干毛色の変わった作品であると思いました。通読するのではなく手元において時たまどこでもいいからぱらぱらとめくる感じで読むような本だと思いました。やはりかなりの本を読み込んでいるという気がします。紹介されている本をいくつか読みたい気になりました。2015/09/30
スプーン
36
エスプリとウィットに富んだ名言紹介本。切れ味が鋭く面白い。ブラックな笑いがチクリとくる。英米の言葉が多いのが玉にキズか?2019/08/12
ヨッフム
16
政治、科学、芸術、自殺、セックス、変わったものならジャズやマリリン・モンローなど、テーマ別に、古今東西、あらゆる名言を引用して、頭を楽しませてくれる一冊。例えば、戦争に関して「男が戦争好きなのは、その時だけ立派に見えるからだ。女に笑われないで済む唯一の機会だからだ」成功に関して、「成功は生活を楽にしてくれる。でも、生きることを楽にはしてくれない」など。小気味の良いユーモアとともに、頷ける名言が多く、著者はあくまでナビゲーターとして、前に出過ぎない構成も潔い。一題につき、数ページなので、サクサク読めました。2015/01/08
吟遊
14
日本には、ユーモラスまたはアイロニックな気の利いたひと言、格言のようなうまい言葉を言う習慣も、そういうもののアンソロジーもない。そこで、英語圏の引用句辞典をもとに池澤夏樹が自分で編むことにした、という本。文化のちがいに触れられるとともに、ユーモア文化を名言集のように楽しめる極上の一冊。2017/05/28