内容説明
「わたしたちはこれから、新しくオープンしたお店、パティスリー・コギ・アネックス・ルリコに行って新作マカロンを食べます」その店のティー&マカロンセットで注文できるマカロンは三種類。しかし小佐内さんの皿には、あるはずのない四つめのマカロンが乗っていた。誰がなぜ四つめのマカロンを置いたのか。それ以前に、四種の中で増えたマカロンはどれか。「ぼくが思うに、これは観察力が鍵になる」小鳩君は早速思考を巡らし始める……。心穏やかで無害で易きに流れる、誰にも迷惑をかけない小市民になるべく互恵関係を結んだあのふたりが帰ってきました! お待ちかねシリーズ十一年ぶりの新刊、四編収録の作品集登場。/【収録作】「巴里マカロンの謎」/「紐育チーズケーキの謎」/「伯林あげぱんの謎」/「花府シュークリームの謎」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
685
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第48弾、米澤 穂信は、新作をコンスタントに読んでいる作家ですが、この小市民シリーズは、初読です。私はスウィーツは好きですが、いわゆるスウィーツ男子ではないので、本書は少し甘く軽過ぎるかも知れません。オススメは、『花府シュークリームの謎』です。 http://www.webmysteries.jp/archives/21463099.html2020/05/17
W-G
504
こういうシリーズの中継になる短編集は、読んでみると面白いのがわかっていても、なかなか触手が動かない。この作品もまさにそうで、読みはじめるまでグズグズしていたが、読みだすとあっという間に読了した。謎や仕掛けが凝っているかどうかという部分より、世界観全体を楽しむのが主眼となる短編たちではあるが、発端の謎の提示はそれぞれユニークで、ユニークなぶん、やはや突拍子もないオチになりがちではありつつ、その匙加減がこのシリーズの"らしさ"の範疇にきれいに収まっている感じ。いよいよ残すところ後一冊。2025/05/31
文庫フリーク@灯れ松明の火
364
表紙の小鳩くん・小佐内さんは完全な冬装備なのに「冬季限定」とタイトルに付かない不思議。そして目次から頭を悩ます。「巴里マカロンの謎」「紐育チーズケーキの謎」「伯林あげぱんの謎」パリ・ニューヨーク・ベルリンは読める。「花府シュークリームの謎」まさか「花府」があのイタリア都市とは(唖然)表題作、小佐内さんの解決策「ぽっけないない」に爆笑。古城秋桜はレギュラーメンバーになる?「伯林あげぱん」で酷い目にあった小佐内さん、狼になるかと期待したのに不発、逆に「花府シュークリームの謎」では「わたし、死ぬの?」と、→続2020/02/09
紅はこべ
351
春期からいきなり本作に飛んだので、設定をあまり覚えていなかった。小鳩くんは、米澤作品の男子にしては珍しく同世代の女子をおまえ呼ばわりしないので、そこはいい。古城さんの中学、問題が山積みだな。謎的には一番どうでもいい伯林あげぱんの話がきれいな伏線回収でよかった。古城パパも栃野パパも、パティシエとしては一流でも、人としてはどうかな。作品と人間性が必ずしも比例しないのは、食べ物も芸術文学も同じか。フィレンツェが花府と表記するのを初めて知った。2021/06/18
cinos
318
久々の小市民シリーズの短編集。指輪が入ったマカロンが皿に置かれた謎、「えっ、また」に笑った拉致られる小山内さん、マスタード入りのあげパン、飲酒写真の謎。どれも楽しめたが、特に、第2話のCDの隠し場所がすごい。一瞬で思いついた小山内さん、すごすぎ。2020/02/21