内容説明
性はこころの問題であり,人格の問題であり,このことについては,古今東西,非常に幅広く論じられてきた。だが,そのとらえ方には,文化・歴史によって大きな違いがある。「性依存症」はまだ日本では認知度も低く,治療も限られた専門機関でしか扱われていない。
近年,徐々に注目されつつある性的嗜好行動への治療的アプローチとして,海外の知見も踏まえ,さまざまな立場から,第一人者の先生方に日本の現状を論じていただいた。
「性依存症」の理解を深め,新たな治療の方向性を示唆する1冊となるだろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くさてる
12
最初の文化論のところがなんだか牽強付会に思えて戸惑いましたが、79歳の著者が書いていると知ってなんとなく納得。それ以外の部分は、裁判での取り扱いや法律的なこと、被害加害児童についてなど広い関係分野をくまなく押さえている感じがします。が、やはり、性依存の犯罪的な部分(痴漢、盗撮など)の加害者像は重い。かれらの自意識には被害者のことがまったく存在していないし、罪悪感も反省も、捕まったことにしか向けられていない…。最後の女性スタッフによる座談会が素直な感情がよく出ていて興味深かったです。2014/10/25
弥太郎岩崎。
1
「極端にやめられない」事を持っている偶然が「性」に纏わるトラブルメイカーであることだった場合、現状では逮捕や被起訴によって、他に向き合うキッカケもほぼ無いという。被害者の救済も難しい。犯罪の潜在的な原因となりうる性依存に、社会がもっと疾患として向き合うべきな事を提言するような内容が纏まる。平日の昼間に事務的な適宜なコミュニケーションをしているありふれたフツーのソツない感じの人がこの問題をじつは抱えていることってザラザラ有るもんなのかもなぁと考えいった。「先行く仲間」や「つながれる場所」が近い所はやっぱり遠2015/11/22