内容説明
ヒステリーが精神医学の表舞台から退場し,多重人格や劇的な身体症状は今や見るも稀な現象となりつつある――しかし,巨大なヒステリーの幻影は未だ潜勢している。ヒステリーから表現形を変えた解離症状は,気配過敏,想像的没入,人格交代,空間的変容/時間的変容,幻覚・幻聴をはじめとする多彩な表情を見せつづけて延命する。
本書の前半・症状構造論では,「色」「夢」「眼差し」など解離に特徴的な表象を手がかりに,気配過敏,想像的没入,人格交代,空間的変容/時間的変容,幻覚・幻聴など解離の典型的症状を論じながら,当事者の主観的世界を触知する。本書の後半・鑑別診断論では,境界性パーソナリティ障害,自閉症スペクトラム障害,統合失調症との困難な鑑別方法を症候学的観点から解説していく。そして終盤の治療論では,「犠牲=身代わり」「場所」「救済者人格」を足がかりとしながら,夢と現実の境界線上に「いま・ここ」を構築して交代人格と交流をはかり,安全な場所のなかで回復に至る軌跡を描いていく段階的治療論が語られる。
症状構造から治療のエッセンスまでを析出した,解離性障害を理解するための比類なき決定書。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
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〈外傷的出来事は過去の体験として時間的場所にしっかりと位置付けられ、自己の基盤としての来歴が形成され、自伝的物語記憶となる〉〈交代人格は基本的に患者自身の身代わりであった。このことに気づくことで「いま・ここ」の「私」が交代人格の心情を受け入れ、その「身になる」ことが可能になる〉〈(…)そのとき「人格たち」は役割が終わったという思いとともに眠りにつくだろう〉2025/07/12
ジエチルエーテル
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覚醒した「私」へと生成することができる。そのとき「人格たち」は役割が終わったという思いとともに眠りにつくだろう。2022/09/22
hizumi
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おもしろかった。柴山先生は人類学や民俗学の話まで広げてくれて解離の射程がすごくふかくおもしろくなる。解離型ASDってわたしかもしれんなー2024/06/09




