ウミガメみたいに飛んでみな

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ウミガメみたいに飛んでみな

  • 著者名:木村椅子
  • 価格 ¥1,540(本体¥1,400)
  • 光文社(2020/01発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334913311

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内容説明

就職活動はうまくいかなくて、そもそも特にやりたい仕事もなくて、彼女とは喧嘩になり、未来が全然見えない。実家の母親はすでに亡く、父親はアイドルグループにはまっていた。笑うチャンスはたくさんあったけど、素直に笑える気はしなかった――。誰かが君を見ていてくれる。たとえば、「家族」とか。第11回小説宝石新人賞受賞作の表題作をはじめ、モラトリアムを生きる若者たちと家族の交流を瑞々しく描いたデビュー作品集。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

41
北海道を舞台に気は優しくて情けないモラトリアムを生きる若者たちの葛藤を瑞々しく描いた連作短編集。バンド脱退でらしさを失った父とロック好きな娘、無難に生きてきた父とナイフを隠し持つ息子、父と衝突し家を出た母を思う娘、金髪に染めた中学生と兄、結婚を機に失踪していた父を探した男、祖母を亡くした娘の悲しみ、帰省したら父がアイドルの追っかけをしていた大学生など、それぞれ鬱屈を抱える主人公たちの葛藤とこじれた周囲との関係があって、けれど終わってみれば意外と悪くない結末に落ち着く展開の妙がなかなか印象的な短編集でした。2020/03/03

万葉語り

41
初読み作家さん。北海道が舞台の短編7編。表題作は何となく毎日がうまくいかない就活中の大学生が実家のある北海道に戻ったら、父親がアイドルの追っかけをしていた話。ウミガメは亡くなった母親の思い出。するっと読めた。2020-0272020/02/11

カノコ

40
小説宝石新人賞を受賞した表題作含む短編集。面倒で、正解がなくて、なのに捨て切れない家族のありかたを描いた短編集。どの話も意外性はなく予定調和な感じはするが、会話文のユーモアや、親子の関係性の中で葛藤する人たちを描く眼差しに優しさがある。母を亡くしたあとアイドルにハマった父と、それを受け入れられないモラトリアム真っ最中の息子の表題作がやはり良い。いつでも当たり前のようにそこにあるのに、鬱陶しくて手放したくなる「家族」というチーム。それを不器用に修復していく父子の姿が微笑ましい。2020/02/26

rosetta

23
★★★★☆表題作が11回小説宝石新人賞。しかしそれ以外の短編も良い。子供から親まで、家族との距離を上手く取れない主人公たちが短い話の中で最後には幸せな解決に向かう姿が愛おしい。それぞれ鬱屈を抱え「しっかりしなよ!そんなんじゃダメだよ」と歯痒く思いながら、人との出会い、関わり方の新しい形を見出して乗り越えていく。もっとこの人の話を読みたい気持ちにさせる。それにしてもこの表紙は『ビューティフル・ドリーマー』を連想させるな2020/02/24

MINA

14
「あたしね、孝一と一緒だったら、空くらい飛べるんじゃないかって思ってるよ」表題作。著者の出身地だからか、全ての短編北海道絡んでる。あと音楽に家族。確かに、片腕の無いウミガメが飄々と空なんか飛べちゃうくらいならもうほんと何だって出来ちゃう気がする。あとは「お前の中に武器を持て。お前がお前でいられるための武器だ。」が好きだし、どの話も乱暴にまとめれば…自分が自分らしくある為に奮闘してカッコ悪い自分を受け入れて一歩進む物語に思える。エモいとエロいの間違いはドン引きされてもしゃーないわ(笑)ウミガメ見たくなる。2020/04/11

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