内容説明
・初期代表著作の『神秘哲学』を収録。その他、初期の思想形成期に特徴的な「詩と哲学」への考察を正面から論じたエッセイなど、井筒の神秘主義の理解を深めるのに必読の著作群を収録。
・解題では、各著作の基本的な書誌情報に加えて、『神秘哲学』初版と人文書院版、著作集版の間の重要な校異を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bartleby
10
人文書院版で別々に読んだ一部と二部を全集版でまとめて再読した。本書で井筒はギリシア哲学の根底にはある形而上学的体験が存在していたと指摘する。そしてその想定を元に井筒版のギリシア哲学史が語られる。解釈の大胆さや論理の明晰さ、さらに詩情溢れる描写など、そのどれもが魅力的だ。ただ、読めば読むほど前提とされている「体験」が自分にはないことを痛感させられ、もどかしくもなる。自分には本書の概念と描写からなんとなくそれを感じ取ってみることしかできない。2014/08/10
