内容説明
落選また落選! 供託金没収! それでもくじけずに再挑戦! 選挙の魔力に取り憑かれた泡沫候補(=無頼系独立候補)たちの「独自の戦い」を追い続けた20年間の記録。第一章では今、日本で最も有名な「無頼系独立候補」、スマイル党総裁・マック赤坂への10年に及ぶ密着取材報告。第二章では公職選挙法の問題、大手メディアの姿勢など、“平等”な選挙が行なわれない理由と、それに対して著者が実践したアイデアを。第三章では2016年東京都知事選挙における「主要3候補以外の18候補」の戦いをレポート。第15回開高健ノンフィクション賞受賞作。
目次
はじめに
第一章 マック赤坂という男
第二章 選挙報道を楽しく変えてみた
第三章 東京都知事候補 21人組手
おわりに
あとがき
文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rico
88
安くはない供託金を払い、当選確率ほぼゼロの選挙に立候補する「無頼系候補」たち。正規の手続きを経て立候補していおり、公約も結構まともだったりする(ぶっとんでるのもあるが)。なのに彼らは完全に無視される。彼らの選挙活動を追いかける中で見えてくるのは、既得権の強さと個人の意思を政治に伝える回路がほとんどないこと。私たちが知っている選挙は「選挙」のごく一部なんだと思い知らされる。とは言え、前回の「無頼系候補」が今回は「主要候補」の一角に名を連ねたりする。SNSが席捲する時代。これは変化の兆しかもしれない。2020/07/03
こばまり
65
泡沫候補のエキセントリックな言動を笑うつもりでいたら、読了後に抱いたのは尊敬の念だった。これまでノホホンと享受してきた民主主義についても考えさせられた。著者もまた無所属というスタンスとお人柄故に結実した好著。2019/12/25
GAKU
50
途中からざっと斜め読み。マック赤坂の事が大半。2019/12/03
てつ
48
面白く読んだ。際物、に近い人物が続々と出てくる。だが本人は大真面目。そしてきちんと政治や国民のことを考えている。そうではなさそうな人もいるが。2019/12/01
hatayan
38
当落の可能性を度外視して注目を集める選挙に出馬、無茶苦茶な主張を行ういわゆる「泡沫候補」に密着。2014年及び16年の都知事選を舞台に、マック赤坂、家入一真氏などが登場します。 聴衆を振り向かせるためにあえてパフォーマンス。立候補はゴールではなくより良き社会を作るための出発点。政治に無関心な多数派が、形はどうあれ自らの主張を世に問おうとする彼らをなぜ嗤えようか。候補者の悲喜こもごもが描かれるなかで、著者が読者に匕首を突きつけるように問う場面は圧巻でした。 民主主義と政治参加について自省を迫る一冊です。2019/11/25