内容説明
その男の死体が発見されたのは8月21日だった。「そうか、結局死んだのか」梨木刑事の記憶は少年時代に戻る。深い後悔が僕らのすべてを引き裂いた、あの夏の花火大会の夜に。僕らは置き去りにしたのだ――幼い少女を暗闇の山中に。刑事は故郷に戻り、かつての仲間と22年ぶりに再会し、事件の真相を解き明かす。胸を締め付ける瑞々しい情景描写が選考会で絶賛された新潮ミステリー大賞受賞作。(解説・大森望)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
128
思ってた以上に重量感のある本格ミステリーでした。こういうしっかりとした作品は、ぜひ映像化してほしいものです。仲良し?四人組のあるひと夏の出来事が、彼らのココロに傷を残し、時を経て20年の歳月により、あらゆる謎が解明されていきます。前半の少年期の描写がなかなかリアルかつシリアスで、この時点で本作の魅力は十分に伝わってきます。そして四人のうちの一人が刑事になり、ある殺人事件が起き、奇しくも過去の出来事とつながりをみせてきます。最近、あまりミステリーを読んでなかったので、久しぶりにガツンとくる作品でしたね。2021/08/08
しいたけ
107
読んでいて、たまらなくあの4人の少年を思い出していた。読後解説に「新潟版『スタンド・バイ・ミー』とも評される」とあり感激。やっぱりみんな、そう感じるんだ。あの映画に私が惹かれるのは、各々が抱えているものを理解しつつとる少年の清冽な距離感と、濃密なひとときの後に続くそれぞれの人生の拡がりにある。まさにこの小説もそうなのだ。新潮ミステリー大賞を受賞しているが、伊坂幸太郎が選評で「作中の子供たちのことが今も忘れられないほど〜」と書いている。私も読後、あの夏の少年たちの姿を手放せずにいた。ひと夏の重みに涙する。2019/09/01
ケロリーヌ@ベルばら同盟
50
素晴らしいレビューに惹かれて。プロローグに一つの死がある。本文は、一気に20数年前の夏へと遡り、地方で成長する四人の小学生の微かな緊張感を孕んだ日常のエピソードが展開する。読者は物語に惹き込まれながらも、冒頭の謎が頭を離れない。ー死んだのは誰なのか?”彼”とは誰なのか?-小学校最後の夏休み。育ち盛りの心と身体の危ういバランスの中で彼らが犯した過ちとは?取り戻せない子どもの日々への哀惜は誰もが心に抱くもの。けれども彼らの喪失感、悔いはあまりに深く、傷ましい。辛い真実の先の未来に暖かな光あれと祈るばかり。2019/09/19
ココロココ
23
これがデビュー作とは、レベルが高い。後悔しても後悔しきれないもの、あの時ああしていれば、そういうことは誰にでもあるけれど、この小説の話は、本当に取り返しのつかないものだと感じた。それでも、生きている者は前を向いていかなければいけない。とてつもない絶望の中にもかすかな希望はあるものだ。少しの後悔なら、前を向いて生きていけばいい。読み終わってからタイトルの意味を考えると、とても悲しい。2019/08/19
hide
21
何でこんなことになってしまったのか。あの時こうしていれば…。そんな後悔はきっと誰にでもある。それでも想像を絶する後悔を知ってしまったとしたら、それが小学生の時であったとしたら、その過ちと向き合って生きることがどんなことか想像できるだろうか?自分を守る為になら、誰かを傷つけることに罪悪感すら憶えない薄汚さ。その薄汚さが、ある時不意に思いもしないかたちで誰かの命を、人生を奪ってしまうことがある。そんな当たり前のことを忘れてはならないんだ。2021/11/19




