講談社文芸文庫<br> またふたたびの道・砧をうつ女

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講談社文芸文庫
またふたたびの道・砧をうつ女

  • 著者名:李恢成【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2020/01発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784061961531

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内容説明

日本の敗戦による、サハリンからの辛うじての帰国。劇変する状況、分断された祖国、一家離散の家族の悲劇。群像新人賞受賞の出世作「またふたたびの道」および、母を描く感動の名作で芥川賞受賞作「砧をうつ女」、父を描く「人面の大岩」。インターナショナルな視座から時代に正面し、たじろがぬ、常に真摯に力走する、在日作家・李恢成の初期秀作群。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kaizen@名古屋de朝活読書会

126
【芥川賞】在日朝鮮人の話。母親は北海道、樺太へいく。若くして亡くなり、母への思いと、自分がなくなった母の年を越えたことに対する感傷の描写がよい。金達寿が芥川賞を取るべきだったと聞いたことがある。なるほど。著者の方向性がぼんやりとつかめる。講談社文芸文庫に芥川賞作品がいろいろあることが分かりました。ありがとうございます。2014/02/08

松本直哉

25
戦争までは同化を強いて、戦争が終れば掌を返したように邪魔者扱いする身勝手な日本の朝鮮に対する態度が残酷な形で現れた樺太、ソ連領となったそこから日本人は帰国できたのに、朝鮮人は取り残される。どこにも居場所なく怒りの持っていく先のない彼らのアウェイ性が如実な形で現れるのは、とりわけ声を持たない女性たちで、中でも子供が三人と聞かされて嫁いできてみれば五人いたという後妻が、夫の死後初めて自分の意志を持って再婚していく話が印象的。砧を打つことに象徴される隷属的な立場からの脱出先もまた新たな隷属であるという厳しい現実2025/01/04

たぬ

20
☆3 芥川賞受賞作を読もうシリーズ。残念ながら入り込めなかった。読みにくいわけではないけど併録の「人面の大岩」で息子が可愛がっている飼い犬を客人のためにスープにするシーンが強烈すぎてそれしか残ってない(一刻も早く忘れたい)。子供たち全員成人してるなら母の再婚くらい認めてやれよと思うし危険人物でしかない父親など、文化の違いの一言では納得しきれない不快さがあって。別作品に期待しましょう。2022/09/05

ken

3
在日外国人の作家による本格的な日本語文学。この作家もまた「家族」というテーマを変奏しつつ創作を続けた作家だった。「砧をうつ女」は第66回芥川賞受賞作。故国朝鮮から日本に渡り、戦中の樺太で没した「母」についての記憶。壮年になった「僕」の語りは叙情的かつ感傷的。「母」という1人の女性から植民地時代の朝鮮の悲劇が想像されるが、政治的な臭いは一切しない。むしろ雰囲気は伝統的な私小説であって、人生の一回性や別離の悲しみが感じられる。一方「人面の大岩」では「ぼく」の「父」との精神的な和解が描かれる。こちらも良い。2020/07/24

tenchi

3
私の読んだ本は、講談社ではなく、文春文庫の「砧を打つ女」でしたがいい短編集でした。表題作は、戦争当時の朝鮮人の貧しい生活の中での家族の愛憎を描いた物語。素朴で飾り気のない率直な文章ですが、少年時代の子供の心理や粗暴だが少年のような弱さを合わせもつ父親の描写など、随所に心に沁み入るような表現が印象的でした。また、在日朝鮮人二世なるが故、自己の帰属性と生きる目標に悩む青年の姿を描いた「半チョッパリ」など、いずれの作品もほとんどの登場人物が自分の人生に生真面目な程真剣に向き合っていて、気持ちの良い読後感でした。2016/02/21

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