内容説明
凄惨な殺害方法と稚拙な犯行声明文で世間を震撼させた「カエル男連続猟奇殺人事件」。十ヵ月後、事件を担当した精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、その跡からは粉砕・炭化した死体が出てきた。そしてあの犯行声明文が見つかる。カエル男の報復に、渡瀬&古手川の刑事コンビもふたたび動き出す。さらにカエル男の保護司だった有働さゆりもアクションを起こし……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナルピーチ
225
前作から10ヶ月後を舞台にあの『カエル男』が帰って来た。今回はその残虐性も更にエスカレート。そのグロ描写は想像したら失神レベルに達する事、間違いない凄惨な内容ばかり…。そんなカエル男を追うのは熱血漢溢れ、地獄の底から何度でも甦る若き刑事“古手川”と、いぶし銀で実は部下想いの“渡瀬”のコンビ。本作もしっかりと中山先生に読まさせられて思うことは、人の憎悪ほど悍ましいものはなく、負の連鎖は絶ちきれないと言う事だろうか。巻末に著者の刊行一覧があり、いろんな作品に登場人物がリンクしていて、他作品も読むのが楽しみだ。2021/09/18
いつでも母さん
208
前作を読んだのはずーっとずーっと前で、気持ち悪かった印象。なので、続編が出ても絶対に読まないと決めていた…なのに何故か今頃手にしてしまった感(汗)あぁ、あれから色んなジャンルの作品と出会い、この文庫本をすんなりと読めてしまう私になってしまっている現実が恐ろしいが(笑)まぁその…なんだ…みたびを期待してしまう私になっているのだ。だってやっぱりラスト一行でさゆりのそれからが知りたくなるってもんだ!2020/12/03
イアン
197
★★★★★★★☆☆☆刑法39条をテーマとした『カエル男』の続編。前作から10カ月後、精神科医・御前崎の自宅が爆破される。原形をとどめない遺体と共に発見されたのは、かつて日本中を震撼させた稚拙な犯行声明文だった…。心神喪失者の責任能力というセンシティブな問題を扱いつつ、著者特有のどんでん返しも味わえる社会派ミステリ。前作読了から2年近いブランクが空いてしまったが、お陰で御子柴・朝倉らとの邂逅という中山ワールドの奥行も感じることができた。「渡瀬さん、助けに来るの遅いよ」とツッコんだのは自分だけではないはず。2021/09/30
れみ
194
カエル男による連続殺人から約10カ月。精神科医・御前崎教授の自宅が爆破され、粉砕・炭化した死体と犯行声明文が発見されるところから始まる、ふたたびの悪夢。いや…ほんとに…前回もなかなかエグかったけど、今回の“破砕する”の描写のあまりにも容赦ない感じが衝撃すぎて一旦読むのを休んでしまった。そして、分かってたはずなのに普通に騙されてしまった。そうじゃないかっていう疑いは一度は持ったけど、分かってしまえば分かりやすいヒントもあったのに騙されてしまった。悔しいけど騙されてびっくりするのも楽しみということで。2019/11/23
KAZOO
176
このシリーズの前の本がいきなりすごい展開でしたが今回もやはりスタートがすごいと感じました。39条問題やマスコミの対応などで私が思っていることを書いてくれているので読んでいてサラッと理解できています。いろいろ事件は起こって作者がうまくレッドヘリング(赤い鰊)を使って最後まで読者の興味をそらさない書き方はうまいと感じました。語り手の刑事をを狂言回しにしてその上司が非常にやり手で切れるということがよくわかりました。最後のほうを読むとこの続きがさらにあるのでしょうか?気になります。2019/04/23