内容説明
「ぼくは真実を語ることにした」今世紀最大の英雄か、それとも国家を破壊しようとした叛逆者か―アメリカ政府による秘密の“大量監視システム”の存在を暴露したことで、最強の諜報組織NSAとCIAを敵に回した男、エドワード・スノーデン。全世界ベストセラーの自伝、ついに日本上陸!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
115
アメリカ政府の情報収集を『暴露』する決断に到るまでの著者の人生。彼を支える道徳・倫理的原則は幼少時に触れた任天堂ゲームやネットでの制限のない繋がりが根幹にあり、ウィットさと率直さに貫かれた語り口にも純朴な性格が現れている。来日を契機に生まれた疑念はそんな彼の心身に相当なショックを与えた一方で、深刻な中東情勢が奮起を促したようだ。技術屋視点の本書は部分的に専門性も高いが、技術進歩に対する道徳欠如や法整備の遅滞が強く訴えられている。恋人の手記も監視される恐怖の例示になっていて、心温まる結末まで引きつけられた。2022/01/17
R
39
凄い面白かった。スノーデン氏の半生と、事件を起こした経緯について、言い訳や、釈明ではなく、自然語りで私小説のように書いているのがよかった。事件が起きたその時に自分は生きていたはずなのに、その本当のところ、何が起きていたかを何も知らなかったことに気付かされる。当たり前のことながら、物凄く頭のよい人なんだが、ハッカーという側面が強く、アメリカの諜報ではこういう人種が活躍する素地があるのが羨ましく思えた。そもそも何が事件であったか、考えさせられる。2020/07/13
おさむ
39
2016年に映画「シチズンフォー」を観た時もショックだったけれど、あの事態に至るまでの経緯が事細かに記されている独白録。アメリカ政府によるネットの情報の監視体制の実態が詳らかにされ、共産主義の中国以上の無法ぶりには呆れるばかり。スノーデンの内部告発に至る迄の内心の苦悩には真実味がある。役職は低かったのに、なぜあれだけの機密情報にアクセスできたのかが不思議だったが、それは彼の技術力ゆえ。本人がファミコンや日本のアニメファンだったり、NSA時代に東京にいたりと日本に関係が深いことがトリビアでした笑。2020/01/26
チェアー
16
筆者は特別、正義感の強い人間だったわけではない。だが、彼以外に国家の不正を正そうとした人間はいなかった。同じ情報を持っていたはずなのに。国家の違法行為を目の当たりにして「おかしい」と思い、そう思わない周囲とのギャップに落ち込んでいく姿が恐ろしい。国家に背くということはそういうことなのだ。他人事ではない。いま似た状況の中で自分はどちら側に立つのか、ほんとうに立てるのかを考えている。末尾に少し救いになることが書かれていて、ちょっとほっとした。2020/02/24
masabi
15
【概要】NSAの大量監視を内部告発した筆者の回顧録。【感想】副題の「消せない記録」はNSAによるデータの永続的保存と図らずも技術的援助をした筆者の罪悪感を意味している。911によって国家への奉仕を決める、各種諜報機関での勤務がもたらした理想と現実の落差、内部告発を決意するまでの葛藤、データの持ち出し、ジャーナリストとの合流と亡命までが綴られている。インターネットの自由とプライバシーの保護、政府の専制を告発するのと知らぬふりを決め込むかの狭間で揺れ動く記述は決断の重みが伝わってくる。 2020/11/26
-
- 電子書籍
- 四季二巡りの恋形見~婚約破棄されたのん…




