内容説明
先進国の大学で、戦略や軍事と題した講義を聴けない国は日本だけだ。しかし、日本が自らの意思にかかわらず戦争に直面せざるをえない場合を考えておくのは、平和を望む者にとって、ごくふつうの教養の一部ではないだろうか――。国家戦略の欠如を憂えた著者は、歴史と地政学を入り口に日本の戦略的環境を解明、その歩むべき道を示した。情報の役割を重視し、冷静かつ現実的な分析に徹した国家戦略論の名著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
10
なかなか面白い視点で進む。全体的に納得しながら読める内容だったのでかなり面白かった。まだまだ通用しそうな内容だと思えたということはさほど世の中変わっていないのかもしれない。2020/03/08
4492tkmt
9
「日本人は勇猛果敢だが、何事によらず計画性がない」(明のスパイ)。自分の働き方の悪い面ががそっくりそのまま、この本の中で問題にされている。情報軽視、戦略のなさ、任務遂行重視、等々。日本がこうなったのは、島国で他国に戦争に負けて支配されたことがないから。要は、平和ボケ。戦略を考えて準備しないと、自分たちの命に関わるんだということが、実感としてない。比較的、西日本の人は、危機意識があるのは、隣国が近いからか。東日本出身者としては、たまに、そのギャップを感じるときがある。この本は、高校の教科書で採用してほしい。2023/03/05
ごん
8
ソ連の全盛期に書かれた本なので、いささか内容が古いのですが、戦略を考えるうえで非常にわかりやすい内容です。日本人は地理的、歴史的に戦略的な思考をすることが苦手なのですが、アメリカと協力することが国家の安全保障に欠かせないようです。この本が書かれた時代から大きく状況は変わり、現在は中国の脅威が顕在化していますが、残念ながら日本が選択できる唯一の現実的な戦略は日米安保だけなのは変わっていないようです。2022/01/03
トリッコロ
8
今から30年近く前に上奏された本である。岡崎氏は「日本の対外政策のパートナーの帰結は、アングロ・サクソンが当然かつ、唯一のパートナーだ」と論理的に帰結している。当然、当時は米ソ二大勢力であるが、今日に当て嵌めると米中衝突だ。また、超大国同士が衝突した場合、戦略的に重要な国に中立の選択肢はない、との話は耳が痛い隣国もあるだろう。2021/03/11
アルミの鉄鍋
7
★5 日本人が書いた日本人から見た地政学の本と言ったところ。海外の人が書いた地政学を日本人にわかりやすく書いたものは良くあるが、これは日本の地政学観点から日本の国家戦略を説いた本である。特に面白かったところはアングロサクソン系が戦争に対する態度は6割勝てれば良い。後の駆け引きを重要視してるため、余力ある戦いをする。日本は10割全力。だから、太平洋戦争でも力尽きた。これって今の国際関係でも言えることだよなぁと。とてもためになる本だった。2019/12/24
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