内容説明
その赤備え軍団は「戦国の伝説」となった――。十四歳の初陣で功を上げられず、父の介錯を務め首を切った山県昌満。心に深手を負い、若き頭領の重圧がのしかかる。だが馬鉄砲の腕を磨き、臣下の窮地を救った昌満は、赤備えの大将として復活。家康と、腹心井伊万千代を震え上らせる戦いを挑んでいく。権謀術数が渦巻く乱世で、最強の赤鬼たちは、いかなる光芒を放ったのか。鮮烈無比の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
164
甲斐武田の赤装部隊の赤備えが、長篠の戦いから武田家滅亡までの活躍の話。山県昌景から引き継いだ昌満。昌満自身がどん底から覚醒するシーンは痺れた。いくつもの艱難辛苦を乗り越えて逞しく、大将としての器を覚醒していく昌満の姿に勇気をくれた。赤備えは違う形で引き継がれるが、昌満率いる赤備え達の生き様はまさに漢だった。一気読みできるぐらい面白く引きこまれる作品。個人的に注目したい歴史小説の作家さんの登場です。2020/01/17
三代目けんこと
28
逃げも隠れもしない“赤備え”。かくありたい。2019/12/10
金吾
17
○山県昌景の跡を継いだ山県昌満とその軍団の話です。昌満を主人公にした本は初めて読みましたが、井伊直政を絡ませ過ぎな部分はありましたが、面白かったです。昌満の成長の過程がしっかりわかります。2020/05/09
マツユキ
13
初陣で、父と兄を失った山県昌満は、頭領となり、武田最強の赤揃えを率いることになるが…。心を病む、繊細な若者ですが、やはりその時代を生きた武将の一人だったんだな。その生き方は痛々しいですが、最後まで強かった。武田勝頼、井伊万千代も興味深かったです。2023/03/30
タッキー
13
日経夕刊でこの著者の作品『フラウの戦争論』の書評を読み、読みたくなって購入したのがこれ。今までこの著者を知らなかったことに後悔!武田信玄の下で活躍した名将山形昌景の子、昌満。長篠の戦いで父と兄を失い、家督を継ぎ、赤備えを率いることとなった昌満の苦悩と、父の遺言『鬼となって天下に名を』の元に研鑽を重ね、大成する姿が実にかっこいい。ただ武田家没落の時流には逆えず、すごく可愛そうな運命に。まさか井伊の赤備えの由来がこんなところにあったとは。全く知りませんでした。歴史小説好きにはものすごくオススメの一冊。お見事!2020/05/23