内容説明
神庭の裔が暮らす花の郷の少女・日奈は、鉄（くろがね）をつくり世に金気の穢れを撒き散らす黒金の大王のもとへ、正体を偽って輿入れすることを命じられた。しかもそれは、裏で大王毒殺の密命を帯びたものだった。輿入れのため、日奈が川で身を清めていると、妖しい男が声をかけてきた。川彦と名乗るその男は、たびたび日奈の前に現れるようになり？ 古代和風ファンタジー！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
42
花の郷の王・異花王の妹の身代わりとして黒金の大王のもとへ輿入れ命じられた少女・日奈。輿入れのため身を清めていた川で川彦と名乗る男と運命的な出会いを果たす和風ファンタジー。異花王のために生きてきた日奈と、自分の意思のない結婚に納得いかない川彦が彼女を攫って始めた彼女の見聞を広めるための旅。多くのものを見聞きした日奈は何が正しいのか分からなくなって、川彦にも向き合うべき役割があって、異花王にも彼なりの正義があって。運命に翻弄されつつもそれに向き合う彼女が今後どのように成長してゆくのか期待の新シリーズですね。 2019/11/20
りー
13
元になった歌が古事記の大国主が沼名河比売に妻問いする場面の歌｢今こそは 我鳥にあらめ 後は 汝鳥にあらむを｣がイメージの元になっているそうです。デビュー10周年の記念作とのことですが、粗削りで作者の想いが走っている感じがしました。作者さん曰く神代･古代の良いとこ取り異世界ファンタジー。うーん、主人公の少女=日奈が歯がゆい。対するヒーローの川彦の造形はけっこう好きでした。古代ガッツリものを求めて読まなければ楽しめるかもしれません。浅い。一つ、突っ込みたいのは異花王はオスカルかいっ！？って事です。ハイ。2020/02/17
すがはら
13
それでは人間は傲慢が過ぎた結果、次代の地上の主役になる新たな者たちに滅ぼされても文句は言えないと達観出来るの？と問いかけたくなりました。神話の時代から人の時代への変遷の時のお話。ヒロイン日奈が健気に真剣に何が正しいのか悩みに悩むところは丁寧に書かれていて共感できたけれど、ヒーローの朱鷺王が傲慢なボンボンで他人への共感力に欠けたキャラのままだったので結末にも反発を感じてしまいます。異花王たち神庭の裔の暮しぶりの描写は趣があって美しかったです。2020/01/02
紅羽
10
古代の日本という難しい世界観が斬新に感じて面白い試みの作品だったと思います。ざっくりした流れは狭い世界で生きてきた少女が主人と崇拝する王の手を離れ、広い世界へ巣立っていくまでのお話ですが、その中で揺れ動く価値観や世界の事、自分を新しい世界へと誘う川彦への戸惑いや思慕等、様々な体験を経て成長していく過程が力強く、心動かされました。その後の二人の行く末も気になりますが、同じ世界観で別の主人公にしても楽しめそうですね。2021/03/25
栗山いなり
10
古代日本風のファンタジーと聞いたときはどんな物語なんだろうか不思議に思っていたがまさかここまでバリバリのファンタジーで結構壮大な冒険劇だったとは思わなかった2020/05/31
