内容説明
伜のためにと、50両を盗んだ、腕利きの屋根職人。それを知った親方がとった、思いがけぬ行動は? さすらいの銀細工師に寄せた茶屋女の恋心、足を洗いそこねた密偵(いぬ)の哀しみ、など、懸命に生きる庶民の意地と想いが交錯し、物語が物語を紡ぎ出す。7つの短篇のどこから読み始めても、やがてひとつの輪をなす、円熟の連作。親子の情、秘剣の冴え、忍ぶ恋! 八百八町に生きる庶民の哀歓が、時空をこえて鮮やかによみがえる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛇の婿
7
冒頭の短篇から始まり、題名にある廻燈籠のように全部で7つの短篇でぐるっとひと回りする連作短編小説集。冒頭の『縁の五十両』『いぬふぐり』最後の『老木の花』が好きです。これ、表紙は『風の鬼灯』のおひさちゃんかな?金魚の風鈴で朝顔だし。作者は「7つの短編のどこから読み始めてもいい」と書いていますが、この本は冒頭の短篇から順に時系列で並んでいますからやっぱり冒頭から読んで行くのが一番面白いと思いますww2012/06/09
山内正
4
今日も久作が来てる おきぬ三十、亭主は行方知れず 病身の義母と暮し七年に 近くの老武士が国に隠居で帰ると 家老から労いの品をと包みを開く 蓮の葉に蛙が一匹 息を飲む 久作と申す銀師の作じゃと 店に来た久作に聞くと金沢の時のだ 死んだ女房に苦労を掛けたと 今は急須だけさ 四十になり槌音に気付いたんだやっとな 久作の家に泊まり朝に長屋に 義母は尿を漏らしてた もうお終いにしたいと思う あの人と京に行こう 旅支度の久作を見た時 ごめんなさい私一緒に行けない 待っています 旅支度のおきぬは 見送った2019/12/07
山内正
3
道灌山で三度も花見したねお前さん それが最後のおふみの言葉 帰り仕度の声で ちょいと行く所が おしなに酌をしながら還暦を迎え三十も違う女と今宵こそと 身をもたせ乳首舐めたが夢現で 夢を見た、老婆おふみと大川を歩く 昨夜飲み過ぎてなと あたし近頃気になる事がと 十七の別れた娘のことがと ふと隣におふみが座ってる お前さんは老木に花を咲かせてるのに 俺と苦労をしてくれるかと言ったんですよ 楽しかった 娘が見つかり会ってお守りをあげた ふと私は一度も産まれた土地へ 帰らなかったんだと 一緒に行ってくれるか 2019/12/21
山内正
2
屋根屋留八の家に息子吉蔵が沈んだ顔で五十両何とかしないとと 番頭になり嫁も貰う話もある 留ハは子供の頃を思い出して仕事をしてた 夜に川に入る女と子供を見つけ 助けた 訳があると話を聞くと 五十両がどうしてもと 息子と同じような話に昼に盗んだ金を握らし 家に帰り 女房から工面を迫られた 息子に何もしてやれずに終る 朝に棟梁に実はと話すと 待ってたんだよ話するのをと 訳は知っていた あんたの気持ちが解り 無利子で貸すよ2019/12/03
fengui
2
Aでのわき役がBでは主人公とクルクルバトンタッチで回っていきます。
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