講談社現代新書<br> 心にとって時間とは何か

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講談社現代新書
心にとって時間とは何か

  • 著者名:青山拓央【著】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 講談社(2019/12発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065180228

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内容説明

何が分からないかが分かる――、これは素晴らしい技能と言える。ある学問分野において何が分かっていないのかを正確に説明できるのは、その分野を相当に理解している人だけだ。

本書では、「心にとって時間とは何か」がどれだけ未知であるのかを探る。私の専門は哲学だが、哲学だけでなく科学についても、さまざまな知見を参照していこう。だれにも分かっていないことを謎としてうまく描き出すには、それがどのような知識によって囲まれているかを示さなくてはならない。私たちの知識の地図に、未踏の地の「輪郭」を描き込んでいくわけだ。

あとで改めて言い添えるが、私はこの目的のために、章ごとに違うサブテーマを定めた。〈知覚〉、〈自由〉、〈記憶〉、〈自殺〉、〈SF〉、〈責任〉、〈因果〉、〈不死〉という、各章の章題がそれにあたる。つまり、少なくとも八つの謎が本書には描き出されており、それらの不思議さや面白さ、そして、一つの謎から別の謎への道が見えてくる高揚感とが、私なりの言葉で綴られている。

第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か
第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか
第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには
第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか
第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か
第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか
第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには
第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか

8つのテーマと謎を手がかりに、「心と時間の不思議」に迫る!

目次

第一章 〈知覚〉――時間の流れは錯覚か
第1節 ここまで生きてきた、というのは冗談 第2節 バーバーポール説 第3節 過去の影、未来の影
第二章 〈自由〉――私はいつ決めたのか
第1節 意思決定の時点の掴めなさ 第2節 健全な不確実性 第3節 本気で選ぶとは、どういうことか
第三章 〈記憶〉――過去のデッサンを描くには
第1節 時続きの記憶 第2節 過去のデッサン画 第3節 五分間の僥倖
第四章 〈自殺〉――死ぬ権利は、権利なのか
第1節 私の、私による、私のための死 第2節 自殺の理想と現実 第3節 自殺の「他殺」性
第五章 〈SF〉――タイムトラベルは不可能か
第1節 タイムトラベルを分類する 第2節 タイムトラベルの物理 第3節 時制とパラドックス
第六章 〈責任〉――それは、だれかのせいなのか
第1節 責任の一部を受け渡す 第2節 理想主義と構成主義 第3節 非難から修正へ
第七章 〈因果〉――過去をどこかに繋ぐには
第1節 もし、ああではなかったら 第2節 あの原因、この記憶 第3節 因果的、そして空間的な「私」
第八章 〈不死〉――死はいつまで続くのか
第1節 限られた不死と、真の不死 第2節 塵のなかの時間 第3節 新たな死者としての私

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

72
難しすぎ  興味深いテーマだし新書だし、と思って手に取ったけど、哲学だった。奥田民生のコンサートを見に行ったら井上陽水が乱入して”荒城の月”を歌って去った、というエピソードが数少ない分かりやすい話。 カケスやボノボにもエピソード様記憶がある、というのは最近他の本でも読んだ2022/09/02

佐島楓

70
第1章から第4章まで、特に第二章の〈自由〉「私はいつ決めたのか」という知覚と実行動の間に何があるかを考察した箇所が興味深かった。人間が説明可能な事象はどこまで存在するのか、ぎりぎりのところまで考え抜く作業は苦しくも楽しい。2019/12/15

へくとぱすかる

66
『タイムマシンの哲学』とアプローチを変えて、自由・自殺・責任等の問題について、時間との関わりを考察。外から中へという方向だと感じた。自由意志の問題は、科学研究の立場と異なり、簡単に決着はつかないと思える。読む前の最大の関心事であった、タイムトラベルについては第5章のみであったが、過去・未来に行くということそのものに疑点があること。ゲーデル宇宙、他のモデルについての考察に興味をひかれる。最後の不死については難解。イーガンの『順列都市』を読んでみたいが、この小説の方がずっと難しかったらどうしよう。2019/12/22

フユコ

65
難しかったなぁ。理髪店の縞模様のポール、延々と上に上がっていくように見える不思議さを再確認。2020/08/25

zag2

42
題の通り、心にとって時間とは何かということを哲学的な視点に加え科学的な側面からも考えている本。…ですが、予想通りこれは難解でした。一日やそこらでとても理解できる代物ではありません。が、興味深いテーマであり、また時間とは何かと哲学的に考えるうえでのヒントになるタネがたくさん書かれていた様に思います。再読したら、もうちょっと分かるかもしれない。2022/03/12

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