内容説明
どんな場所でもいいんです。貴方と一緒にいられるなら
「いつかいなくなる人」に恋してしまった羊飼いの少女
羊飼いのニナは、行き倒れたところを国境警備兵のアルベルトに救われる。精悍で奢らない優しさを持った彼は、実はわけありの王都の騎士らしい。彼の元に身を寄せ、字を習い、辺境の慰めに羊の歌を歌う時間は、ニナにとってかけがえのないものとなっていく。でも彼はいつか王都に帰る。離ればなれになったら二度と会えない。一瞬でも彼の心を惹きたくて、ニナは聞きかじった「夜伽」を試みることに…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でんか
28
おもしろかったです。羊飼いヒロインが養い親を亡くし、行き倒れ、ヒーローに助けられる、てなイントロ。彼は王都で騎士だったが、事件をきっかけに左遷されたらしい。正しく騎士であろうするヒーローの言動にヒロインが惚れない訳がない。ヒロインもけなげなお嬢さん。ヒーローが自分と異なる階層の住人と理解し、しかし彼を慕う心は止められない訳で、その辺大変ようございました。彼の所に来た手紙を読みたいと葛藤するところとかすごく切なくて切なくて。ヒーローが真面目過ぎて朴念仁さんなので二人の仲がなかなか進まないのこれまたよきよき。2019/10/16
やまと
15
貴族様も舞踏会も出てこない地味なお話なんですが、ほっこり心温まる素敵なお話でした。2019/10/29
月
13
羊がかわいい!!!癒し!!! 王宮もドレスも侍女も陰謀も出てこない。出てくるのは草原と羊とやさしい歌声。優しい性格で卑屈すぎないヒロインと、素朴であたたかく優しいヒーローにひたすら癒された。あとがきで地味すぎないかと作者が書かれていたけど、こういうの大好きだと思った。2020/07/17
よっしー
10
作者さんが「地味」って言ってるけど凄く良かった。もふもふの羊が癒しとキューピット的な。プロットにOK出した担当さんグッジョブだと思うし、挿絵もピッタリ。2020/01/30
十六夜
9
作者が後書きで書いていたように、確かにドレスも出ないし舞台はめちゃくちゃ辺境の田舎の村という華のなさ。ヒロインは字も読めない身寄りもない羊一匹と逃げてきた田舎娘だし、ヒーローは上官に逆らって騎士団を除名された元騎士。地味地味設定だけど、その中で心を通わしてく二人の日常は温かくいたわりとねぎらいに満ちていて、単純に癒される。お節介な騎士やもはや登場人物に劣らぬ活躍を見せる羊がいいアクセントになっていて、地味だけどとても温かくなる良作だった。エロもエロくていい。二人の未来に幸あれ。2019/12/02