内容説明
昭和陸軍はなぜ多くの錯誤を犯したのか。国家を存亡の危機に陥れ、自らを解体に追い込み、国民に過酷な運命を強いた昭和陸軍とは、そもそもどのような組織だったのか。そもそも太平洋戦争とはなんであったのか。500人余りの関係者の証言と、膨大な資料から、その解明を試み実像を描いた著者渾身の力作。
感想・レビュー
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まると
23
これは熟読すべき一冊だ。日本はなぜあのような無謀な戦争を始めてしまったのか。なぜ作戦を誤り膨大な兵士を無駄死にさせたのか。時系列に主要な出来事を検証し、幾つもの要因を導き出している。取材・執筆された約30年前は、まだぎりぎり陸軍中枢を知る人たちが存命だった頃。事の真偽を確かめつつ中立的に示してくれる証言の数々は、戦後78年を経た今となっては極めて貴重なものばかり。中国共産党が終戦直後、石原莞爾の思想に強い関心を抱いていたとの記述が興味深い。米国と対峙する今の中国首脳に引き継がれているように思えてならない。2023/09/15